アメリカの「トランプ関税」発動や止まらない物価高の影響で、日本国内では生活コストが急騰しています。
この状況を受け、政府や与野党間で消費税の引き下げ(減税)をめぐる議論が活発化しています。
与党内では、食料品など生活必需品への時限的な減税が検討されており、野党各党は消費税率を5%引き下げることを求めています。
さらに、全国民への現金給付案(1人あたり5万〜10万円)も浮上しており、減税と給付のどちらが家計支援として有効か?について議論が進んでいます。
自民党内では、2年程度の期限付き消費税減税と給付金を組み合わせる案も検討されているようです。
今回は、この中でも、減税の可能性を中心にみていきたいと思います。
消費税の「一時的引き下げ案」が浮上中
現在検討されているのは、消費税を以下のいずれかの形で一時的に引き下げる案です
- 標準税率を10% → 5%に一律引き下げ
- 軽減税率対象の食品8% → 0%(非課税)にする案
自民党内では、参議院を中心に減税案の検討が進められています。一方、公明党は「早急に減税を柱とした経済対策をまとめるべき」と主張しています。
与野党の思惑が交錯する中で、減税案は政治的に現実味を帯びつつあります。
では、与野党それぞれの立場の主張をみていきましょう。
政府・与党の立場:自民党は慎重、公明党は前向き。
自民党の森山幹事長や財務省は消極的です。「消費税は社会保障の財源」として、引き下げには慎重な姿勢を崩していません。
自民党 森山幹事長
「(減税の)財源をどこに求めるのか、社会保障のどこを国民の皆さんに我慢をしていただくのか。対でないと、下げる話だけでは、これは国民の皆さんにご迷惑をかけてしまう」総理周辺
「『減税』はしちゃダメだ。まだ『給付』であれば、効果あるかは別にしてワンショットだから補正予算を組んで、それなりに景気が良ければ税収で何とかなるかもしれない。でも『減税』は、下げるのにはエネルギーいらないけど、上げる時にはまた何百倍のエネルギーがかかる」林芳正官房長官
「新たな『給付金』や『減税』といった補正予算、経済対策について検討している事実はありませんが、適切な対応を取ってまいります。政府として税率を引き下げることは適当ではないと考えております」
一方で、公明党の斉藤代表は「消費税を含むあらゆる税目での減税を検討すべき」と発言し、消費税減税の必要性を明言しています。
さらに、減税が実現するまでの「つなぎ措置」として現金給付も同時に行うべきと提言しています。
公明党の斉藤鉄夫代表は11日の記者会見で、食料品に限った消費税減税を巡り「あらゆる手段のひとつの方法として検討している」と語った。経済対策として減税が最も効果的だとの認識を改めて強調した。「特別な税が念頭にあるわけではない」とも説明した。
斉藤氏は米国の関税措置を念頭に減税を前提に「つなぎの措置」として現金給付が必要だと主張している。
野党の主張:立憲・維新・国民などが一斉に減税要求
立憲民主党・国民民主党・日本維新の会・共産党などは、一時的な減税や食料品の消費税0%を提案しています。
中でも国民民主は「一律5%への引き下げ」を明確に主張しています。
維新は「食品の消費税撤廃」「社会保険料の引き下げ」などと合わせた総合的な政策を要請しました。
国民民主党 榛葉幹事長
「国民民主党が減税やろうというと、『財源がない』と言って、選挙の前に給付金をまくと言ったらできるというのですか。トランプショックを利用して選挙運動みたいなことやらない方がいい」 国民民主は「現金給付」ではなく、時限的な消費税率の一律5%への「減税」を求めています。日本維新の会 前原誠司共同代表
「我々ずっとやると言っているわけではありませんし、例えば、消費税の食品に対する0%というのは、生活に不可欠なものに対して、しっかりと負担軽減を図ることは大事なことであろうと」
社会保障とどう両立する?財源・制度面でハードル。
消費税は「年金・医療・介護などの社会保障4経費の財源」として位置づけられているため、減税には代替財源の確保が不可欠です。
公明党も「減税を行うなら代わりの社会保障財源を同時に提示するのが当然」としており、実現には財政と制度の両面で高いハードルがあるのが現実です。
「減税or給付」どちらが効果的なのか?
与党内では、「減税は一度下げると再増税が困難」という懸念から給付金の方が柔軟で即効性があるとの声もあります。
一方で、野党側は「集めた税金を給付金を配るくらいなら、最初から取らない方が合理的」として減税を優先すべきと主張しています。
また財務省も「減税は不適当」とコメントしており、与野党で意見が分かれています。
減税が実現するなら、いつから減税される?
経理や税務の現場としては、いつから減税が実施されるのかが気になるところです。
実際、減税が実現するには法改正が必要なため、早くても2026年度(令和8年度)以降の実施が現実的とされています。
与党内でも「来年度からが常識的」との認識が共有されています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
しばらく議論は続きそうですね。
- 減税案の行方(食料品0%や5%引き下げ)
- 給付金と減税の組み合わせ(「つなぎ」としての現金給付)
- 参議院選挙前の補正予算動向
経理や税務の実務、そして家計にも直結する問題だからこそ、今後の行く末が気になりますね。
個人的には、あんだけ頑張って対策したインボイスがどうなるのか?も気になります。
ただし、今から右往左往しても仕方がない部分もあるので、政府や自治体の正式な発表を待ちながら、動向を確認していきましょう。
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