合同会社は株式会社とは異なり、役員=出資者であるために、役員の追加方法が株式会社と全く異なります。
今回は、合同会社での役員(社員)の追加方法について解説していきます。
また必要書類についてはwordの事例を一部ご用意していますので、参考にご覧ください。(あくまで事例ですので、ご使用の際は自己責任でよろしくお願いいたします)
手続方法は、主に2つ
合同会社の役員追加手続には、主に2つの方法がございます。
- 新たな出資による役員追加(増資を伴う社員追加)
- 持分の譲受による役員追加(増資を伴わない社員追加)
新たな出資による役員追加
合同会社の社員(役員)となるには、原則出資が必要となります。
なので、新たに社員(役員)を追加する場合、増資が伴います。
新たな出資による社員(役員)の加入は、原則総社員の同意により、定款変更を行って、新たに社員(役員)となろうとする者が出資に係る払い込み(金銭の場合)または給付(現物出資の場合)を行う手続きをとります。
持分の譲受による役員追加
もう一つの方法として、既存社員の持分を一部譲り受けることによって社員(役員)を追加する方法がございます。
この場合新たな出資は発生せず資本金額の変動がございませんので、払込手続きも不要となります。
従って手続きとしては上述した「新たな出資による社員(役員)追加手続」よりもより簡易な形で社員(役員)の追加が可能です。
このとき定款に別段の定めがない限り、社員の持分譲渡は、他の社員全員の承諾が必要となります。
※業務を執行しない有限責任社員(=出資だけの社員)を追加するのであれば業務執行社員全員の承諾で足り登記も必要ありません。
手続にかかる登録免許税
では次に、手続きに際して実際にかかる費用をみていきましょう。
新たな出資による役員追加
- 資本金の登録免許税
=増加した資本金×0.7%もしくは3万円に満たない場合は3万円) - 社員の変更の登録免許税
=1万円
資本金の登録免許税にもよりますが、最低でも4万円がかかります。
ただし、出資を伴う役員追加であっても、資本金に1円も計上しない場合は、資本金の変動がないため、登録免許税は金1万円となります。(資本金1億円超の会社であれば3万円になります)
持分譲受による出資の伴わない役員追加
持分の譲渡等による役員追加の場合は、資本金の登録免許税のみとなるので1万円となります(資本金1億円超の場合は3万円)。
手続き方法
それでは、具体的な手続き方法についても、それぞれみていきましょう。
それでは出資を伴う役員追加の方からご説明いたします!
新たな出資による役員追加の手続きの流れ
手続きの流れは次のとおりになります。
- 定款の変更
- 追加される社員による出資金の払い込み
- 業務執行社員による資本金額の決定
- 法務局での登記申請
1. 定款の変更
合同会社においては、定款に社員に関して記載されているため、社員を追加する場合にはまず定款を変更することになります。
加えて「追加される社員が出資をする」方法を採る場合には、合同会社の資本金の額が変わることを意味するので、それについても同様に定款を変更する必要があります。
定款の変更については、基本的にはすべての社員で決議を行ったのち、すべての社員の同意を得ることで成立します。ただし、定款の変更について、定款の中で別の規定を定めていた場合は、この限りではありません。
この際、「総社員の同意書」を作成しておきましょう。
2. 追加される社員による出資金の払い込み
すべての社員から定款の変更(=社員の追加)が認められたら、次に追加される社員が、合同会社の口座に出資を払い込みます。
この際、払込をした日付・金額・人物が分かる通帳のページなどをコピーしておきます。
もし、追加される社員による出資を現物出資で行う場合には「財産引継書」及び「資本金の額の計上に関する証明書」を作成しておきます。
平たく言うと、前者は社員から合同会社へと現物(財産)が引き渡されたことを証明する書面であり、後者は現物出資をした財産がどの程度の価額なのかを証明する書面です。
3. 業務執行社員による資本金額の決定
社員が追加されて出資金が払い込まれたということは、合同会社の資本金額も変わることを意味します。そのことについて、業務執行役員の過半数の決議をとり決定させます。
この際、「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面」を作成しておきます。
4. 法務局での登記申請
定款を変更した場合、変更内容が「登記すべき事項」に該当するときは、法務局での登記申請が必要です。
合同会社における社員及び資本金額に関する事項は「登記すべき事項」に該当するので、最後に法務局での登記申請を行います。
登記の完了は申請から1週間~10日程かかります。
社員の追加に際しての法務局での登記申請に必要な書類は以下のとおりです。
必要書類(クリックすると事例wordファイルがダウンロードできます)
なお、追加される社員による出資を現物出資で行った場合には、「出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面(通帳のページなどのコピー)」の代わりに「財産引継書」及び「資本金の額の計上に関する証明書」を添付します。
登記申請に際して必要な費用(登録免許税)
合同会社の社員追加に際して必要な費用は、法務局での登記申請にかかる登録免許税のみですが、追加される社員が出資をする方法をとった場合は追加で資本金の登録免許税がかかります。
- 社員追加にかかる登録免許税:1万円
- 増資にかかる登録免許税:3万円もしくは増資金額の1/1000
持分の譲受による役員追加の手続きの流れ
続いて、持分の譲受による役員追加の手続きの流れをみていきます。
- 定款の変更
- 持分譲渡契約の締結
- 法務局での登記申請
1. 定款の変更
合同会社においては、定款に社員に関して記載されているため、社員を追加する場合にはまず定款を変更することになります。
定款の変更については、基本的にはすべての社員で決議を行ったのち、すべての社員の同意を得ることで成立します。ただし、定款の変更について、定款の中で別の規定を定めていた場合は、この限りではありません。
この際、「総社員の同意書」を作成しておきましょう。
2. 持分譲渡契約の締結
次に、今いる社員が追加される社員に出資金額の持分を譲り渡す旨の契約を締結します。この際「持分譲渡契約書」を作成しておきます。
3. 法務局での登記申請
定款を変更した場合、変更内容が「登記すべき事項」に該当するときは、法務局での登記申請が必要です。
合同会社における社員の追加は「登記すべき事項」に該当するので、最後に法務局での登記申請を行います。
社員の追加に際しての法務局での登記申請に必要な書類は以下のとおりです。
必要書類(クリックすると事例wordファイルがダウンロードできます)
こちらの方法の場合は、合同会社の資本金の金額が変わるわけではないので、「出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面(通帳のページなどのコピー)」や「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面」は必要ありません。
登記申請に際して必要な費用(登録免許税)
合同会社の社員追加に際して必要な費用は、法務局での登記申請にかかる登録免許税のみです。
今いる社員が追加される社員に出資金額の持分を譲り渡す方法をとった場合の登録免許税は、社員追加にかかる登録免許税1万円のみです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
合同会社の社員(役員)追加方法についてお話させていただきました。
手続きと費用だけみれば、持分の譲渡の方が簡単で登録免許税が安くなります。
なので、資本を増強せず単に役員を追加するだけならば持分譲渡の方法がおススメです。
逆に資本を増強して会社の信用力を高めるには、追加出資のある手続き方法を選ぶのが良いですね。
ご自身の状況に合わせて、適切な方法を選択できるように、当記事を活かしていただけたらうれしいです。
それでは、また!
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