各行政機関で進められているDX化・効率化の流れのなかで、国税庁から国税に関する電子化やペーパーレス化の一環として、令和7(2025)年1月から紙で提出された申告書への受付印(収受日付印)の押印を行わないことが発表されました。
これまで税務署の受付印が押印された申告書の控えなどを、金融機関や補助金事務局などに提出していた納税者は、今後はどのように対応するか?気になるところだと思います。
今回は令和7年1月以降の確定申告の紙提出した場合の受付印の変わりとなる対応の仕方についてご説明します。
確定申告書の受付印(収受日付印)の重要性
ここで、紙提出の場合の受付印の重要性を振り返りましょう。
郵送での紙提出の場合、申告書等の控えと返信用封筒を送付しなければ受付印付きの申告書等を受けとることができません。仮にきちんと受理されていたとしても、申告した証明が手元に残りません。
また、コロナ禍で行われた持続化給付金の申請の際には、申告書を紙提出している場合、原則受付印のある申告書が必要とされていました。金融機関で申告書が必要になる場合にも受付印のあるものを求められることは少なくないと思います。
このように紙提出の場合、申告書控えへの受付印のあり/なしは、手続きに大きな影響を与える場合があります。
今後も受付印(収受日付印)は重要か?
一応、国税庁のQ&Aを確認すると、
国税当局から、金融機関や補助金・助成金などを担当する行政機関などに
対して、今般の見直し内容について事前に説明等を行い、「令和7年1月以降
は、各種の事務において収受日付印の押なつされた申告書等の控えを求めな
い」ことを徹底するようお願いしてきたところです。今後も、周知徹底に努めてまいりますが、仮に、令和7年1月以降におい
ても、収受日付印の押なつされた控えの提出を求める各種機関を把握した場
合には、国税当局から個別に説明を行う予定です。
とありました。ゆくゆくは受付印のある/なしの重要性は低くなっていくとは思われます。
ただ、周知までにタイムラグもある可能性も高いので、受付印の代わりとなる対応方法も把握しておいた方が良いでしょう。
e-Taxでの電子申告なら受信通知機能で確認できる
一方で、e-Taxを用いての電子申告の場合、送信された申告データの受信通知が自身(自社)のメッセージボックスに格納されます。
受信通知では、申告書等を提出した者の氏名または名称、受付番号、受付日時等を確認することができるため、この受信通知が申告された証明になります。
なので、正直にいうと、できればこれを機に電子申告に移行するのがおすすめではあります。
紙提出でも安心、申告の確認方法5つ
申告書等を紙提出した事実やその提出年月日を確認するには、以下に挙げる5つの方法があります。
1. 申告書等情報取得サービス(オンライン請求・所得税のみ)
所得税の確定申告書、青色申告決算書及び収支内訳書を紙提出している場合、パソコンやスマートフォンからe-Taxを利用してPDFファイルを取得することができます。
手数料はかかりませんがマイナンバーカードが必要となります。また直近3年分(令和2(2020)年分以降)が対象となるため、それよりも過去の分については閲覧することができません。
なお、PDFファイルの取得には数日かかります。
2. 保有個人情報の開示請求(個人のみ)
個人の申告書等に限り、税務署が保有する個人情報に対して開示請求を行うことができます。
手数料は300円(オンライン申請の場合は200円)で、別途「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」の提出が必要となります。
オンライン申請の場合は「e-Taxを利用した開示請求等のオンライン申請について」をご参考ください。
なお、この手続きは開示/不開示の決定に時間がかかりますのでご注意ください。
3. 税務署での申告書等の閲覧サービス(法人・個人)
所轄税務署に「申告書等閲覧申請書」を提出することで、申告済みの申告書等を閲覧することができます。
手数料はかかりませんが、あくまで閲覧サービスのため、写しを受け取ることはできず、原則として書き写しとなります。
ただし、申請書の「写真撮影の希望」欄にチェックをつけることで写真撮影が可能となります。
4. 「納税証明書」で納税額証明や未納がないことを証明できる
また上記のほか、税務署の窓口またはオンライン申請にて納税証明書の交付請求をおこなえば、確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額または未納の税額がないことの証明書を取得することができます。
手数料は400円(オンライン申請の場合は370円)です。
5.当分の間の対応として希望者に交付されるリーフレットを申請する
国税庁では改正にあたり、当分の間の対応として下記を掲載しています。
令和7年1月以降、当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものを、希望者にお渡しいたします。
郵送等により申告書等を提出する際に、切手を貼付した「返信用封筒」を同封された方に対しても、窓口での収受の場合と同様、当分の間の対応として、日付・税務署名(業務センター名)を記載したリーフレットを同封して返送いたします。
このリーフレットをもって受付印の代わりとすることができますので、紙提出の方はリーフレットを取得するようにしましょう。
令和7年1月以降に紙申告をした場合、収受日付印代わりになるものはあるのか?
この収受日付印廃止のお知らせは、2024年3月現在のところ一般的にあまり知られていないようです。
国税庁のQ&Aでは、令和7(2025)年1月までの間に丁寧な周知・広報に努めるとの記載をしています。
また、令和7年1月以後の対応として、紙提出時の申告書等への収受日付印の押なつに代えて、配布しているリーフレットに「日付」や「税務署名」を記載したうえで、希望者に渡すことを検討しているようです。
このように、税務署側でも柔軟な対応が行われる予定です。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回の見直しで、今まで紙提出を行っていた方にとっては電子申告への切り替えを検討する大きな分岐点になるかと思います。
個人的には電子申告への移行が手間も時間もかからない、税務署の行列にも並ぶ必要がないので、とてもおすすめです。
会計ソフトによっては日常の会計処理→決算処理→電子申告までスムーズに行えるものも多いので、これを機に導入を検討してはいかがでしょうか?
個人事業主であれば、私的にはfreeeをおすすめしています。
そのほかにも確定申告についていろいろ知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
個人事業主として活躍する、みなさんの確定申告手続きの参考になれば幸いです。
それでは、また!
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