【2025年】令和6年分確定申告書・第三表の書き方をわかりやすく解説

確定申告

確定申告の時期が近づいてまいりました。

2025年提出・令和6年分の確定申告については、定額減税の影響もあり、若干の変更点があります。

2025年提出|令和6年分確定申告の5つの変更点まとめて解説
今年も確定申告の時期が近づいてまいりました。 2025年(令和6年分)の確定申告について、どのような変更点があるのか気になるところです。 この記事では、2025年(令和6年分)確定申告の変更点や確定申告書等作成コーナーのアップデ...

本記事では、その変更点も踏まえて令和6年分確定申告書第『第三表』の見方や書き方について詳しく解説するとともに、税額計算の流れや控除の種類も紹介いたします。

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確定申告書の種類

所得税の確定申告書には第一表・第二表・第三表・第四表の4種類の用紙があります。

第一表と第二表は、確定申告をする全員が提出しなければなりません。

第三表は申告分離課税の対象となる所得がある人が、第四表は損失の申告をする人が、それぞれ提出します。

確定申告書の種類と内容
  • 第一表:収入や所得、所得控除、税額控除などの金額を記入
  • 第二表:所得の内訳や所得控除に関する事項など、第一表で記載した事項の詳細な内容を記入
  • 第三表:株式等の譲渡所得や不動産の譲渡所得など、分離課税の対象となる所得について記入
  • 第四表:純損失の金額や雑損失の金額を翌年以降に繰り越す場合などに記入

 

確定申告書の用紙は国税庁のサイトからダウンロードでき、税務署に行って確定申告書の用紙をもらうこともできます。

この中でも今回は株式等や不動産の譲渡所得がある場合に作成する『第三表』についての見方や書き方をみていきましょう。

確定申告書 第三表の見方と書き方

分離課税に該当する所得は、株式等の譲渡所得・配当所得・不動産の譲渡所得・山林所得です。これらの所得があれば、確定申告書の第一表と第二表以外にも、第三表の提出が必要です。

早速『確定申告書第三表』をみていきましょう。

引用元:国税庁「申告書第一表・第三表【令和6年分以降用】」©国税庁)

第三表の見方と書き方を各ブロックごとに解説します。

a.住所・屋号・氏名

住所と屋号、氏名・フリガナを記入します。屋号がなければ、未記入で問題ありません。

b.特例適用条文

第三表の特例適用条文には、マイホームを売却して利益があるなど、軽減税率の特例を適用する場合に記載します。

たとえば、マイホームを売却したのであれば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(措置法35条1項)」が適用できます。また、そのマイホームが所有期間10年超の場合は「居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例(措法31条の3)」も適用できます。

これらを活用する場合には下記のように記入していきます。

この場合『措法』をマークし『35』条の『1』項をマークします。

その他の特例適用条文はこちらを参考にしてください。

c.収入金額

土地や建物を譲渡した際の収入金額や、株式などを売却して得た収入金額を該当する項目に記入します。

d.所得金額

第三表の所得金額には、収入金額の欄で記入した各項目について、収入金額から費用などを差し引いて計算した所得金額を記入します。

たとえば、マイホームの売却で特別控除が適用されたなら、特別控除を差し引いた金額を記入してください。また、株式を売却したなら、売却額から取得時の金額や手数料を差し引いた金額を記入します。

e.税金の計算(課税される所得)

「総合課税の合計額⑫」と「所得から差し引かれる金額㉙」は、確定申告書の第一表から転記した金額を記入してください。

「⑫対応分(79)」には、「総合課税の合計額⑫」から「所得から差し引かれる金額㉙」の金額を引いた額を記入します(1,000円未満の端数を切り捨て)。

「⑫対応分(79)」以降は、「d. 所得金額」の欄の対応する数字欄を確認しながら、各欄に以下の金額を記入します。

項目 記入する内容
(68)(69) 対応分(80) 短期譲渡の「一般分(68)」「軽減分(69)」の対応分の所得金額
(70)(71)(72) 対応分(81) 長期譲渡の「一般分(70)」「特定分(71)」「軽課分(72)」の対応分の所得金額
(73)(74) 対応分(82) 「一般株式等の譲渡(73)」「上場株式等の譲渡(74)」の対応分の所得金額
(75) 対応分(83) 「上場株式等の配当等(75)」の対応分の所得金額
(76) 対応分(84) 「先物取引(76)」の対応分の所得金額
(77) 対応分(85) 「山林(77)」の対応分の所得金額
(78) 対応分(86) 「退職(78)」の対応分の所得金額

f.税金の計算(税額)

「税額」の欄には、「課税される所得」に記入した金額ごとに税率をかけて税額を計算します。

「(87)から(94)までの合計(95)」には、「(79) 対応分(87)」から「(86) 対応分(94)」の税額の合計を記入して、確定申告書 第一表の㉛に転記します。

g.その他

確定申告の際に差し引く繰越損失や翌年以降に繰り越す損失がある場合に記入します。具体的にこの項目に記入するのは、一般株式や上場株式の譲渡、先物取引で損失が発生した場合です。

h.分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項

「分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項」には、以下の項目を記入します。

項目 記入する内容
区分 「短期 一般」「長期 一般」など
所得の生ずる場所 譲渡した住所
必要経費 必要経費の金額
差引金額 収入金額から必要経費を差し引いた金額
特別控除楽 控除の金額

i.上場株式等の譲渡所得等に関する事項

「上場株式等の譲渡所得等に関する事項」には、上場株式等の譲渡所得額等の源泉徴収税額の合計額を記入します。

j.退職所得に関する事項

「退職所得に関する事項」には、「一般」「短期」「特定役員」の区分に該当する収入金額や退職所得控除額を記入します。

退職所得の金額は、原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。ただし、勤続年数が5年以下で短期退職手当や特定役員退職手当に該当する場合は計算方法が異なります。

退職所得控除額は勤続年数によって計算式が異なり、以下のとおりです。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
例えば、勤続年数が9年4ヶ月だった人の退職所得控除額は以下のとおりです。

400,000(円)×10年 = 4,000,000(円)

勤続年数は端数を切り上げるため、仮に9年4ヶ月であれば、10年として計算をします。また、障害者になったことが直接の原因で退職すると、退職所得控除額は、上記で算出した額に100万円を加えた金額になります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は株式等や不動産の譲渡所得がある場合に作成する「確定申告書-第三表」の見方・書き方についてみていきました。

また全員が提出する必要のある『第一表』『第二表』についても知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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この記事が皆様の確定申告のお役に立てば幸いです。

それでは、また!

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