ダブルワーク(仕事掛け持ち)は確定申告が必要?その判断方法やポイントを解説

確定申告

近年、ダブルワークをしている方が増えています。

ダブルワークとは、2つの仕事を掛けもつことを指しますが、実は働き方や年末調整の状況によって確定申告が必要かどうかを自身で判断しなければなりません。

なぜならダブルワークをしている人が確定申告が必要かどうかは、年末調整の有無やその範囲、収入・所得金額などに応じて異なるからです。

企業勤めをしていると、毎年年末調整で企業が代わりに収入や控除を申告してくれます。しかしダブルワークで得た収入は、自身で申告する必要があります。

本記事では、ダブルワークで働く方が確定申告をスムーズに行えるよう、申告が必要な場合と、不要な場合を解説します。

確定申告を怠るとペナルティを課せられるケースもあるので、自分が確定申告が必要かどうか、しっかり判断できるように理解しておきましょう。

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ダブルワークとは?

ダブルワークとは、業務を行っている2つの仕事のうち、どちらかを本業とせずに掛け持ちで勤務することをいいます。

主に、アルバイトやパート、派遣社員などの非正規雇用の人が、2つの仕事を掛け持ちで勤務する場合に使われる言葉です。本業がある人がほかに仕事をする「副業」とは異なり、「兼業」とも呼ばれます。

ダブルワークの働き方は主に以下の3つに分けられます。

ダブルワークの主な働き方
  • 会社員やアルバイト、パートとして勤務している人が、ほかにアルバイトやパートで給与所得を得る
  • 会社員やアルバイト、パートとして勤務している人が、給与所得以外に雑所得または事業所得を得る
  • 給与所得を得ずに、雑所得や事業所得を得る仕事を2つする

ダブルワークで確定申告が必要なケース

ダブルワークをしている場合、所得の年末調整や源泉徴収の有無、所得の種類などから、確定申告が必要かどうか判断することになります。

ダブルワークで確定申告が必要なケースは次の5つです。

ダブルワークで確定申告が必要なケース
  1. 2ヶ所から給与所得を受け取っていてどちらでも年末調整を受けないとき
  2. 年末調整を2ヶ所以上でしてしまったとき
  3. 2ヶ所から給与所得を受け取っていて1ヶ所で年末調整を受けているが、年末調整を受けていない方の会社からの給与所得が20万円を超える場合
  4. 年末調整を受けた給与所得以外に20万円を超える所得があるとき
  5. 事業所得と雑所得の合計金額が48万円を超えるとき

 

それでは、確定申告が必要となるケースをそれぞれ詳しく解説します。

1.2ヶ所から給与所得を受け取っていてどちらでも年末調整を受けないとき

通常、給与所得を得ている人は給与から源泉徴収がされており、年末調整を受けることで所得税の精算を行います。

ただし、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していないなどの理由により、年末調整を受けられない場合があります。

給与から源泉徴収されていても、差し引かれているのは所得税の概算分だけです。

なので、正しい金額を納税するためには、確定申告をして納税額の精算をしなくてはなりません。

概算分は過徴収で還付されることも多いので、年末調整を受けられなかった場合は必ず確定申告をしましょう。

年末調整を2ヶ所以上で受けてしてしまったとき

年末調整は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した勤務先で行われる手続きです。

所得税を正しく計算するために、年末調整を受けられるのは1人1ヶ所までです。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、勤務先から受け取り、自身で記載して勤務先に提出することが一般的です。間違えて両方の勤務先に提出してしまわないように注意しましょう。

もし年末調整を2ヶ所で受けてしまった場合、所得税の計算が正しく行われないため、確定申告を行い納税額の精算をしなくてはなりません。

2ヶ所から給与所得を受け取っていて1ヶ所で年末調整を受けているが、年末調整を受けていない会社からの給与所得が20万円を超える場合

2つの会社に雇用されていても、年末調整を受けられるのはひとつの会社のみです。

年末調整を受けていない会社からの給与所得が20万円を超える場合には、所得税を精算するために確定申告が必要です。

参考:国税庁HP「給与所得者で確定申告が必要な人」©国税庁

ただし、後述しますが、年末調整を受けない勤務先の源泉徴収票をもう一方の勤務先に提出できた場合、両方の年末調整をまとめて受けられるため、確定申告は不要です。

年末調整を受けた給与所得以外に20万円を超える所得があるとき

1ヶ所の勤務先で年末調整を受けている人で、そのほかに得た雑所得や事業所得が20万円を超えている場合には確定申告が必要です。

事業所得と雑所得の合計金額が48万円を超えるとき

会社に勤めていない場合でも、クラウドソーシングや在宅ワーク、または個人で依頼を受けるなどでダブルワークしている場合の所得は、事業所得もしくは雑所得になります。

事業所得もしくは雑所得の合計金額が基礎控除額の48万円を超えた場合に確定申告が必要です。

ダブルワークで確定申告が不要なケース

「ダブルワークはいくらまで稼いでいい?」と気になる方もいるでしょう。ダブルワークでも、一定の条件に当てはまれば確定申告が不要な場合があります。

ダブルワークで確定申告が不要なケース
  1. 年収が103万円以下のとき
  2. 年末調整を受けていない方の所得が20万円以下のとき
  3. ほかの勤務先の所得もまとめて年末調整を受けたとき
  4. 事業所得と雑所得の合計金額が48万円以下のとき

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.年収が103万円以下のとき

2ヶ所の勤務先の一年間の給与所得の合計額が103万円以下であり、どちらの勤務先でも源泉徴収されていない場合は、確定申告は不要です。

年収103万円以下とは、基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を足した金額のことです。

なお年収103万円以下であっても、勤務先で源泉徴収されている場合には、確定申告をすることで税金の還付が受けられます。

以下の条件に該当する人のうち、日給が9,300円未満であれば源泉徴収の対象ではありません。

源泉徴収の対象外になる条件
  • 雇用期間が2ヶ月以内の人
  • 日雇い労働者が同じ事業所で継続して2ヶ月を超えて支払いを受けない場合

源泉徴収されているかどうかは毎月の給与明細の「所得税」、または「源泉徴収」欄の「所得控除の額の合計金額」で確認できます。

年末調整を受けていない方の所得が20万円以下のとき

1ヶ所の勤務先で年末調整を受けている人で、もう一方の給与所得、または雑所得や事業所得が20万円以下の場合には確定申告が不要です。

給与所得とは、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額のことで、雑所得や事業所得は収入から必要経費を差し引いた金額を指します。

ただし、年末調整で受けられない所得控除・税額控除を受けるために確定申告をする場合には、20万円以下の所得を含めて確定申告する必要があります。

→年末調整で受けられない所得控除について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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ほかの勤務先の所得もまとめて年末調整を受けたとき

アルバイトなどの副業で給与収入を得ている場合、2ヶ所以上から給与の支払いを受けていても年末調整は1ヶ所でしか受けられません。

ただし、年末調整を受けない勤務先の源泉徴収票をもう一方の勤務先に提出できた場合、両方の年末調整をまとめて受けられるため、確定申告は不要です。

まとめて年末調整を受けたい場合は、年末調整を受けない勤務先に源泉徴収票の手配が可能か確認してみましょう。

事業所得と雑所得の合計金額が48万円以下のとき

事業所得や雑所得の場合は給与所得控除が適用されないため、所得金額が基礎控除の48万円を超えるかどうかが確定申告が必要かを判断するポイントです。

たとえば、フリマアプリでの販売とクラウドソーシングのダブルワークの場合、事業所得・雑所得の合計金額が48万円以下であれば、確定申告は不要です。

参考:国税庁HP「基礎控除」©国税庁

ダブルワークをしている人の確定申告方法

確定申告の期限は原則として、対象の年の翌年2月16日から3月15日までです。

1年間(1月1日から12月31日)に生じた所得金額とそれに対応する税額を計算し、申告書を提出して税金を支払う必要があります。

確定申告に必要な書類

確定申告書の提出や作成に必要な書類は、人によって異なります。提出する際に必要な書類を確認し、スムーズに申告できるようにしましょう。

必要書類
または
準備・保存する書類
ダブルワークの働き方
(得ている所得の種類)
2ヶ所から給与所得を受けている 1ヶ所から給与所得を受け取っており、
それ以外の所得(副収入=雑所得or事業所得)がある
雑所得と事業所得のみ得ている
確定申告書
本人確認書類
収支内訳書 × ×
必要経費の領収書 ×
(提出は不要だが保管が必要)
各種控除証明書
(年末調整で控除を受けた分の控除証明書は不要)

確定申告の手続きの仕方を詳しく知りたいはこちらの記事をご覧ください。

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確定申告をする際の注意点

ダブルワークをしている場合、確定申告に関して気を付けたいポイントがあります。スムーズな確定申告とトラブル防止のために、しっかり理解しておきましょう。

必ず期間内に申告する

確定申告は、1月1日から12月31日までの収入や経費を計算して申告書類を作成し、翌年の2月16日から3月15日までの間に提出します。

期限が土曜日・日曜日・祝日などの場合は、翌日が期限となります。
→たとえば2025年の確定申告期間は2025年2月17日から3月17日までです。

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提出期限を過ぎた場合、無申告加算税や重加算税が課される可能性があるため、不要な出費を避けるためにも必ず期間内に申告を行ってください。

控除証明書を用意しておく

年末調整では、生命保険料控除や地震保険料控除などを踏まえて計算されます。

しかし、年末調整で控除できる範囲には一定の基準が設けられています。複数の生命保険に加入している人の保険料が、すべて控除対象になるとは限りません。

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ちなみに、年末調整で提出した以外の控除証明書があれば、確定申告の際に使用できる可能性があるため、用意しておくとよいでしょう。

確定申告対象外の収入も申告する

ダブルワークで確定申告が不要な際も、確定申告を行うことで控除や税金の還付を受けられる場合があります。

たとえば、ダブルワーク先の両方で源泉徴収され、片方の収入の年末調整のみ行われた場合、確定申告により税金が還付される可能性があります。

ただし、計算の結果によっては追加納税が発生する場合もあるため注意しましょう。

住民税の申告が必要な場合がある

ダブルワークでの収入は、条件によっては確定申告の必要がありません。ただし、個人に課せられる住民税は、収入をすべて踏まえて金額が算出されます。

通常、確定申告を行った場合は税務署と自治体間で必要な情報が共有されるため、住民税の申告は不要です。しかし、所得が基準以下であるなどの理由で申告をしなかった人は、注意が必要です。

住民税の場合は所得税と異なり、所得金額などの条件による申告のルールはありません。しかし、年末調整に含まれず確定申告を行わない収入がある場合は、課税のための情報として住民税の申告を行う必要があります。

住民税申告が必要か不要かについては、こちらの記事をご覧ください。

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書類保管義務などが課される場合がある

2022年に施行された税制改正により、領収書やレシートの保管や帳簿付けなどが義務化されました。

前々年分の雑所得の収入金額に応じて、場合によっては領収書などの保存や確定申告書提出の際の収支内訳書の添付が求められます。所得が雑所得に該当する場合も同様に必要です。

前年ではなく前々年の所得の収入金額が判断基準になる点や、「所得金額」ではなく「収入金額」である点に注意しましょう。

記帳すべき内容は以下の通りです。

収支内訳書に記載する内容
  • 売上などの収入金額
  • 仕入や経費に関する事項
  • 取引年月日
  • 売上先や仕入先そのほかの相手方の名称
  • 金額
  • 日々の売上と仕入や経費の金額 など

 

また、取引ごとの記録ではなく、一日の合計金額をまとめて記載する簡易的な記帳方法も認められています。

確定申告によりダブルワークがバレてしまう可能性がある

確定申告は、一定の基準以上の所得がある場合は必ず行わなければなりません。しかし、勤務先がダブルワークを禁止している場合は注意が必要です。

個人の住民税は原則として、給与から天引きされる「特別徴収」という納付方法です。住民税の税額は前年の所得を基に計算され、翌年5月頃に勤務先へ通知されます。勤務先は税額が記載された「住民税決定通知書」により、特別徴収分を給与から差し引きます。

納税額の計算のもととなる所得はダブルワーク分が合算されているため、通知書の内容からバレてしまう恐れがあります。

会社にダブルワークがバレたくない場合は、確定申告時に、「確定申告書第二表」の住民税の項目で、徴収方法は「自分で納付」を選択しましょう。

会社に通知書は送付されないので、ダブルワークがバレるリスクを下げることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

ダブルワークをしている人が確定申告が必要かどうかは、年末調整の有無やその範囲、収入・所得金額などに応じて異なります。

なので、ご自身で判断できるように書いていたら、長文になってしまいました(笑)

さらに、確定申告が必要な人はもちろん、確定申告が不要な人でも確定申告をすることで税金の還付が受けられる場合があります。

ダブルワークをしている人は、自身の働き方と収入、年末調整の有無を確認し、確定申告が必要かどうかを判断しましょう。

また、確定申告が必要な場合は、手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。




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この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。

それでは、また!

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