【請求書の記載例つき】源泉徴収税は税込と税抜どちらで計算する?

税金・税務

個人事業主の多くが頭を悩ませることの1つとして「源泉所得税」があると思います。

源泉徴収は、複雑で分かりづらいことが多いため、疑問点が多々あると思いますが、特に、

クライアントA
クライアントA
源泉徴収の金額は、税込みと税抜きのどちらで計算すればいいの?

という疑問を感じたことがある人は多いと思います。

中には、特に「今まで意識していなかった」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

今回は源泉徴収の金額は税込みか?税抜きか?について、改めて整理してみましょう。

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源泉所得税は税込と税抜のどちらの処理も可能!

結論としては、「どちらの処理もOK」と言えます。

ただし国税庁は、原則として源泉徴収は税込金額をもとに計算することとされています。

例外的に、請求書に税抜金額が明記されている場合のみ、税抜金額で計算することが認められるかたちです。

念のため国税庁のHPも確認してみましょう。

弁護士や税理士などに報酬を支払った場合には、所得税および復興特別所得税を源泉徴収することになっています。

この場合、源泉徴収の対象となる金額は、原則として、報酬・料金として支払った金額の全部、すなわち、消費税および地方消費税(以下「消費税等」といいます。)込みの金額が対象となります。

ただし、弁護士や税理士などからの請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えありません

(引用元:国税庁HP『No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税』©国税庁)

ただ、実務的には、ほとんどのケースでは、請求書に税抜金額が記載されているため、税抜金額をもとに源泉徴収を行っている方が多いようです。

ちなみに税抜に基づいた金額の方が、直近の手取り額も増えるメリットもあります。

請求書の記載方法の具体例

ここで、いくつか具体例を見て考えてみましょう。

今回の例としては、個人事業主がデザイン料として10万円(税込11万円)を請求する場合を取り上げます。

  1. 税抜金額も記載されている場合
  2. 税込金額のみ記載されている場合

のそれぞれを見てみましょう。

1.税抜金額を記載している場合の請求書

税抜金額を記載している請求書の場合、源泉徴収する金額は、次のいずれかの金額となります。

①税抜金額で源泉徴収する場合

源泉所得税:100,000× 10.21% = 10,210

請求額:100,000円+10,000円ー10,210円=99,790円

②税込金額で源泉徴収する場合

源泉所得税:110,000× 10.21% =11,231

請求額:100,000円+10,000円ー11,231円=98,769円

2.税込金額のみ記載されている場合

税抜金額が書かれた請求書の方が一般的ではありますが、請求書のレイアウトによっては税込金額しか記載していない方もいらっしゃいます。

システムを使っている場合はあまり見掛けませんが、Excelなどで自作している方にはいらっしゃる印象です。

この場合は原則通り、税込金額をベースに計算する方法しか認められませんので、下記の計算となります。

源泉所得税:110,000× 10.21% =11,231

請求額:100,000円+10,000円ー11,231円=98,769円

(例外)請求書を発行しない場合

自治体や公的機関から仕事を受けたり、出版社から原稿依頼を受けたりする場合は、請求書の発行ではなく、相手から「支払通知書」などを受け取ることがよくあります。

この場合、源泉徴収を税込金額で計算するか税抜金額で計算するかは、発注者の判断によります。

もし税抜金額で計算して「どうも金額が合わない」と感じた場合は、税込金額で再計算して確認してみると良いでしょう。

まとめ

源泉徴収する金額は、請求書の記載内容によって異なる場合があります。

多くの方は税抜金額も記載された請求書を作成しているため、税抜金額で計算する方が良い場合が多いでしょう。その方が手取り額が増えるというメリットがあります。

また、請求システムを利用している場合、源泉税は自動で計算されることがほとんどです。基本的にはその計算結果に従って請求すれば問題ありません。

ただし、Excelなどで請求書を作成する場合は、計算ミスに注意が必要です。確認を怠らないようにしましょう。

この記事が源泉徴収で悩む個人事業主の皆さんのお役に立てば幸いです。

そして、今後も税務に役立つ記事を発信していきますので、またお越しいただければ嬉しいです。

それでは、また!

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