俺そろそろ法人化しようと思うけど、どう思う?
っていう相談は割と多いです!
ということは・・・
って毎回思っちゃったりするんですけど(笑)
もうね!勢いがある方にはドンドン経済を回してもらいたいですね!
とはいえ、勢いの中にも正しい知識をつけて冷静な判断をするのも大事。
今回は法人成りすべきかどうか?が判るように、法人成りのメリット・デメリット・タイミングまで徹底解説していこうと思います!
法人成りとは?
そもそも「法人成り」とは、簡単に言うと「個人事業主が事業を引き継いで、株式会社や合同会社を設立すること」です。
法人成りすることで、税金の節税や、社会的な信頼が生まれることで資金調達が行いやすくなるなどのメリットを受けられます。なので折を見て是非検討してほしいテクニックになります!
また逆にデメリットもありますから、ここからはメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう
法人成りの7つのメリット
メリット①給与所得控除によって節税ができる!
個人のときには、自分への報酬はまったく経費にできませんよね。
しかし、法人成りをすると、自分への報酬=役員報酬が法人側での経費にできますし、個人としてもサラリーマンと同様、給与所得控除が適用されます。
メリット②消費税の納付が2年間免除!
消費税を納付するべきか否かは、2年前の売上高が基準となります。法人成り1年目と2年目は、その2年前は事業がない状態ですので、消費税が免税となります。
ただし以下の条件があります。
- 新会社設立時の資本金が1000万未満
- 第1期上半期課税売上高1000万以下、人件費1000万以下に抑える
- 個人事業主時代の売上高が5億を超えていないこと
条件にあてはまれば、個人事業開始2期分+法人成り後の2期を合わせて最大4年間の消費税納税義務免除が可能です。
メリット③生活費が経費になる!?
さきほど、自分への報酬=役員報酬が法人側での経費になると書きました。
これって冷静に考えると、今まで生活費でしかなかったものが経費になってるってことなんですよ!まるでマジック。
ただし、役員報酬の経費算入には以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 「定額同額給与」固定で毎月給与がもらえる
- 「事前確定届出給与」決まった日にあらかじめ決まった金額を支払う
- 「利益連動給与」利益・売上の変動によって支払う
まぁ、「役員が会社のお金を使いこまないように、予め金額は決めてね!」ってだけの内容なので、そんなにムズカシイ条件ではありませんね。
メリット④赤字を9年(10年)繰越できる
赤字を繰り越すことで将来利益があがったときに、所得を小さくして節税できます。
この赤字の繰り越しが、個人の場合(青色申告の場合)は3年間です。
しかし、法人の場合は、9年間(平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金については10年)繰り越すことができます!
さらに、この繰越は国税と地方税の両方に適用されます。
メリット⑤社会的信用度が上がる
「法人」を設立するにはいくつもの手順を踏んで国に認められる必要があります。そのため、「法人」は「個人事業主」よりも信用度が高いんです。
事業規模を大きくするためにも銀行から融資を受ける予定があるならば、法人成りするがお勧めです!
さらに、法人成りすると、個人事業主としては信用がなく仕事を受けることができなかった企業から、仕事を受注できるようになることもあります。
つまり、法人成りは事業の可能性を大きく広げることになるんです!
メリット⑥有限責任(責任が限定される)
法人成りをすることによって、基本的には出資金額によって責任を負うことになります。
そういう意味では出資額以上の責任を求められることもあるので、実際やってみるとこのメリットを享受してる感覚は乏しいかもしれません。
メリット事⑦業承継が個人よりも簡単
個人事業で店舗を経営している場合、店主が何らかの事情で事業を続けられなくなったら廃業となってしまいます。または子や弟子が店を引き継ぐといったケースもありますが、認可などは取り直す必要がありますし、屋号が登記されている場合には法務局での手続きが必要です。
しかし法人でなら、株式や持分の譲渡で、事業をそのまま承継でき、認可や屋号はそのまま使うことができます。
法人成りの4つのデメリット
デメリット①事務的な負担が格段に増える
法人成りをすると、個人事業主で活動していた時よりも会計や税務関係、さらには社会保険など労務関係の事務作業のコストがかかります。
この事務作業を社内の人だけで完結させるのには限界があるので、多くは専門家にお願いすることになります。なので、決算書や申告書、労務関係の書類などの作成を税理士や社労士の方に頼むことで金銭的なコストもかかることが多いです。
デメリット②設立の際に法人登記費用が必要
法人成りをするには、会社を設立する必要があります。株式会社であれば20~25万、合同会社であれば10万程度で開業が可能です。会社設立にはそれなりに費用が掛かることもデメリットの一つです。
デメリット③赤字でも法人住民税の均等割は支払義務がある
法人成りをすると、たとえ事業で得た収支が赤字だったとしても、「法人住民税の均等割」は支払い義務があり、年間7万円※の支払いをすることになります。
※地方自治体によって、支払金額が違います。
デメリット④従業員の社会保険や労働保険の負担が発生
法人成りすることによって、健康保険料+厚生年金保険料が必要になります。そして、これらの半額は会社負担で支払うことになります。
未加入のまま法人で事業を営むことはできません。
法人化し、社会保険への加入が義務化され、もし従業員などをかかえる場合は、保険料の支払いは大きな支出になります。
法人成りを検討する6つのタイミング
以上のメリット、デメリットをふまえて法人成りを検討しましょう。
法人成りをしようと思ったら、次はそのタイミングが大事になります。
法人成りを検討した方がいいタイミングは次の6つです。
- 所得金額が900万円超えたとき
- 課税売上高が1,000万円超えた2年後
- 売上のピーク前
- 従業員を増やしたいとき
- 新規取引先を開拓したいとき
- 融資を受けたいとき
所得金額が900万円超えたとき(所得税⇔法人税節税の観点)
個人事業主で所得金額が900万円を超えたら、法人成りを検討してみましょう。
なぜなら、このタイミングで個人事業主より法人の方が、税額が小さくなる可能性が高いからです。
個人事業主と法人では、利益にかかる税率が異なります。
法人は税率は基本的に一定です。
一方、個人事業主は累進課税といって、所得=利益が大きいほど税率が上がります。
その分岐点が所得900万円!
比較すると以下のようになります。
個人事業主 | 法人 | |
所得税 | 5~45% | なし (経営者個人の役員報酬などにかかる) |
法人税 | なし | 800万円まで15% 800万円を超える部分23.20% |
消費税 (課税事業者の場合) |
受け取った消費税 – 支払った消費税 | 受け取った消費税 – 支払った消費税 |
住民税 | 所得割:10% 均等割:4,000~5,000円 |
法人税割:法人税額 x 税率 均等割:7万円 ~ |
事業税 | 3~5% | 3~7% |
色々書きましたが、利益があがるほど節税の面で法人成りのメリットが大きくなることは覚えて帰ってください!
課税売上高が1,000万円超えそうなとき(消費税節税の観点)
個人の課税売上高が1,000万円を超えそうなときも、法人成りを検討しましょう。
先ほど書いたように、課税売上高が1,000万円を超えた2年後から消費税納付の義務が発生します。
逆にいえば、このタイミングで法人成りすれば、会社としては2年前の課税売上高がないので2年間消費税の免税事業者となることができます。
個人としても以後売上がたたないのであれば、消費税は発生しません。
なので、個人事業主で「2年前課税売上高が1,000万円を超えそうだな」という場合は、法人成りを検討しましょう。
また過去2年以内に課税売上高が1000万円を超えていた覚えがある人も検討してみてください。
売上のピーク前
季節によって売上に波がある業種の方は、売上のピーク前に法人成りを完了させておくのはメリットがあります。
なぜなら、売上が伸びているほど、法人成りの節税効果をより高められるからです。
とはいえ、これに関しては優先度が低いです。
手続きに追われて事業に支障をきたしたり、他の要素との兼ね合いがあると思うので、タイミングが合えばくらいに考えておきましょう。
従業員を増やしたいとき
従業員を増やしたいタイミングでも、法人成りを検討してみてください。
なぜなら、法人に加入義務のある社会保険の保障は、個人事業主の国民健康保険や国民年金よりも手厚いからです。
しかも半額は会社負担となるので、仕事を探してる側としては魅力の一つとなります。
なので、今よりも従業員を増やして事業を拡大したい場合は、法人成りを検討してみるといいでしょう。
新規取引先を開拓したいとき
法人成りすると、個人事業主時代よりも新規取引先を開拓しやすいのは間違いありません。
そして中には、法人のみとしか取引しない会社もあるからです。大きい企業ほどその傾向があります。
これは、いくつもの手順を踏んで国に認められた「法人」は、信用度が高いうえに、決算書や登記簿があるため個人事業主よりも情報がオープンだからです。
なので、信用調査がしやすいですし、取引先にとっては安心感があるからです。
事業の拡大フェーズでは是非法人成りを検討してみてください!
融資を受けたいとき
法人成りすると、融資の面でもメリットがあります。
先述した通り、信用度が高く、情報がオープンで信用調査がしやすいことに加え、法人だと日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を活用して、無担保・無保証の融資をうけられる可能性があるからです。
また、審査のときには個人事業主のときの実績も加味してもらえます。
融資でさらに事業を拡大したいときには、法人成りを是非検討してみてください!
まとめ
いかがだったでしょうか?
かなりボリューミーになってしまいましたね(笑)
法人成りは節税面、そして事業拡大のときに、とても有効な手段です!
個人事業主の方で、
「売上がだいぶ上がってきたな~」
「もっと規模を拡大したい!」
と思った際には是非法人成りを検討してみてください!
そして、法人成りには具体的な手続きが必要です!
次回はその具体的な手続きについて紹介していきたいと思います。
それでは、また!
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