「事業所得」と「雑所得」の違いとは?副業がどちらになるかの判断基準を解説

確定申告

最近では「副業」をされている方が増えてきました。

副業OKの会社もチラホラみられるわけで、一昔前との時代の変化を感じますね。

そんな「副業」をしているからこそ、年末が近づくと確定申告が気になってくると思います。

果たして今やっている「副業」は”事業所得”なのか?それとも”雑所得”なのか?

今回は副業が「事業所得」になるか「雑所得」になるかの判断基準について解説していきます。

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副業が「事業所得」になるか「雑所得」になるかの判断基準

副業が事業所得と雑所得のどちらに該当するかですが、簡単にいうと、『片手間や趣味でやっていて小遣い稼ぎ程度の収入を得ている場合』には、”雑所得”ということになります。

一方で、趣味レベルを超え、事業規模、つまり生計を立てられる規模であれば”事業所得”となります。

ここでは、雑所得と事業所得の違いについて、もう少し具体的にみていきましょう。

給与所得者の副業の多くは「雑所得」になる

サラリーマンなどの給与所得者が、休日を利用してエッセイを書いて原稿料をもらう、読者モデルとして撮影料をもらう、あるいはハンドメイド作品をフリマアプリで売って収益を得るなど、少額の収入の副業であればすべて”雑所得”に該当します。

また、パソコンを利用したアフィリエイトなどの副業も、少額であれば”雑所得”に該当します。少額の収入の副業や継続性のない副業は、基本的には雑所得として申告が必要です。

給与所得者の副業が雑所得になる例
  1. 原稿料
  2. モデル料
  3. オークションでの利益
  4. フリーマーケットの利益
  5. アフリィエイト収入

 

いわゆる副業のほとんどは雑所得に該当する場合が多いでしょう。

先物取引は分離課税になる

雑所得の中でも、「先物取引に係る雑所得等」として、特例で分離課税となっているため、ほかの所得と合算されません。

所得税15%と令和19年までは復興特別所得税2.1%、地方税5%となります。

参考:国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」

以上雑所得について見ていきました。

では、雑所得でなく事業所得に該当する場合はどんなときでしょうか?

事業的規模や生計を維持できるレベルだと事業所得

事業所得か雑所得かは、それが事業規模であるかどうかや、独立・継続・反復して行われる仕事かどうかといった観点から総合的に判断されます。

具体的には、以下のような基準を基に総合的に判断されます。

基準 あり なし
営利目的であるか 事業所得 雑所得
反復継続して行うものであるか 事業所得 雑所得
自己の責任をもって行うものであるか 事業所得 雑所得
社会的地位が客観的に認められる業務
(公的資格を用いた業務など)から生じる所得であるか
事業所得 雑所得

副業が事業所得として認められるためには、収入規模と人的、あるいは物的にどの程度労力を費やして、事業として成立しているかがポイントとなります。

「事業所得」と「雑所得」の申告方法

事業所得と雑所得は、必要経費を収入から差し引けるという点では同じです。

しかし、事業所得には、雑所得にはないお得な制度があります

特に、青色申告は、事業所得と不動産所得および山林所得に限って申請することで利用できる申告方法で、雑所得よりも有利となるケースが多く見受けられます。

<事業所得と雑所得の比較>

事業所得 雑所得
給与所得との損益通算 ×
65万円または55万円または10万円の青色申告控除 ×
青色事業専従者給与 ×
純損失の繰越しと繰戻し ×
30万円未満の少額減価償却資産の特例 ×

副業を「事業所得」で申告するメリット

副業が赤字だった場合、副業で稼いだ所得が事業所得と認められていれば給与所得など異なる区分の所得の金額から損失金額を控除できます。これを「損益通算」といいます。

雑所得の場合は赤字が出ていても所得金額がゼロとして扱われ、損益通算できません。

副業で稼いだ所得が事業所得として認められ、青色申告の承認を受けていれば、最大65万円の「青色申告特別控除」や家族への給与を経費にできる「青色事業専従者給与」などメリットが生まれます。

1.給与所得等との損益通算

事業所得として申告する場合は、副業で赤字が出た場合に損益通算で給与所得などから損失を引くことができ、節税が可能です。

一方、雑所得では損益通算はできないため、損失をほかの所得から引くことはできません。

参考:国税庁「No.2250 損益通算」

2.青色申告特別控除

副業を事業所得で申告すると青色申告特別控除が適用でき、最大65万円の控除が受けられます。

青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳を行い、確定申告の際には「貸借対照表」と「損益計算書」も提出することが必要です。

また不動産所得は事業的規模でないと65万円の特別控除は受けることができません。青色申告では、簡易簿記による記帳で、10万円の特別控除を受ける方法もあります。

参考:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」

3.青色事業専従者給与

雑所得では生計を同一とする家族に対する給与は必要経費とはできませんが、事業所得では事前の申請など、要件を満たすことで経費として算入できます。

白色申告の白色事業専従者控除では、配偶者86万円、そのほかの親族50万円と金額が決められています。

青色申告の青色事業専従者給与では、上限の設定もなく、妥当性のある金額であれば、全額経費として算入が可能です。

参考:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

4.純損失の繰越しと繰戻し

事業所得で青色申告を行っている場合には、赤字をほかの所得から控除しても控除できない額があるとき、損失額を3年間繰り越して、所得から控除することができます。

また、前年の所得から繰り戻して控除して、所得税の還付を受けることも可能です。

参考:国税庁「No.2070 青色申告制度」

5.30万円未満の少額減価償却資産の特例

事業などのために購入したパソコンや車などの10万円を超える資産は、通常は1年で経費とすることができません。数年かけて減価償却して経費計上する必要があります。

しかし、事業所得では青色申告していると、令和6年3月31日までに取得した30万円未満の物に限り、一括で経費とすることができます。ただし、上限は合計300万円と定められ、150万円以上になると固定資産税が課されます。

参考:国税庁「No.2070 青色申告制度」

「事業所得」として申告した副業が「雑所得」となった判例

実際に申告の修正が求められた事例として平成26年9月1日の裁決です。

大学の准教授が執筆及び講演等の業務から生じた所得を「事業所得」として確定申告したところ認められず、「雑所得」と判断された平成26年9月1日の裁決があります。

判例によると、

「事業所得」として申告した副業が「雑所得」となった判例
  • 自己の危険と計算において独立して行う業務か
  • 営利性と有償性を有しているか
  • 反復継続して遂行されて営まれているか
  • 社会的地位が客観的に認められているか

以上が基準となっています。

この判例では、申請者がいつどこで営業を行ったのか、どのように経費を使ったかなどの記録が明確ではなく、「取材活動や営業活動の事実は認め難く、少なくとも企画遂行性に乏しい」と判断されました。

また、継続・反復して行っているものの、執筆物の一覧やデータが残っておらず、「実際にこれらの内容の執筆を行ったことによる収入金額もないため、これらの内容の原稿を執筆していたとは認められない」と、事業所得ではなく、雑所得と判断されました。

まとめ

いかがだったでしょうか?

サラリーマンの副業はもはや一般的なものになってきています。

これから副業を始めたいと思っている方も多いのではないかと思います。

副業が継続して黒字になるようであれば、事業所得として申告できるかどうか税務署ないし税理士に相談してみましょう。

また、個人事業主として届け出を出す場合は、開業届や青色申告承認申請書といった必要な書類があります。

税務署に行って用紙をもらって手続きもできますが、「開業freee」を使えば必要事項を入力するだけで簡単・無料で作成できますので、個人的にはおすすめです。
よければ試してみてください。

そして確定申告をする際には、こちらに確定申告攻略記事がありますので、よかったら覗いてみていってください。

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この記事が副業をがんばる皆さんのお役に立てれば幸いです。

それでは、また!

 

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