というご質問をいただきました。結論、
という回答になるのですが・・・
そもそも、個人事業主や法人で犬や猫、熱帯魚などのペットを飼育していると、「飼育にかかる餌代や病院代は経費計上できるのか」といった疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論、飼育にかかる餌代や病院代は経費計上ができる場合があります!ただし、経費計上する条件や注意点があるため、解説していきます。
犬や猫などペットを経費計上できる条件
ペットの飼育費用を経費計上できるかの条件は複数あります。
その可否の判断ポイントとして、ペットが「事業に関係しているか」という点が重要になります。
具体的にはどのような場合が経費として計上できるのか詳しく見ていきましょう。
ペット関連の事業を運営している
ペットに関連する事業を行っている場合は、ペットにかかる費用を経費として計上することができます。
具体的には、「ドッグカフェ」「猫カフェ」「ふくろうカフェ」などの事業です。
動物と触れ合うことを目的とした事業では、動物がいないと売上を出すことができないため、100%経費として計上が可能になります。
また、経費化が可能な費用は、「犬・猫などの購入費用」「餌代」「病院代」「保険料」などの購入から飼育に係る費用全般です。
注意しなければいけないのは、経費として扱えるのは事業と関係している動物に関してのみという点です。
例えば、ふくろうカフェを経営している会社が、バックヤードで飼育している金魚の飼育費用などに関しては、経費計上ができないので注意しましょう。
広告塔としてペットを起用している
CMなどの広告で動物を起用している大手企業も多数あります。
その場合はその動物が広報としての役割を担っており、会社の売り上げに貢献していることが認められるため、経費として計上が可能です。
また、最近では「看板犬・猫」「猫駅長」「社員犬」などがテレビ番組やYoutube等で取り扱われることも多く見受けられます。
広告塔として、会社のHPやSNSなどのメディアでの宣伝に寄与する場合は、経費として認められる可能性が高いでしょう。
受付の熱帯魚やセキュリティ目的で飼育している番犬など
職場やオフィスで動物を飼育している場合は、目的が明確であれば経費計上することができます。
例えば、来客される際のロビーや応接間などに置かれている水槽は、綺麗な熱帯魚を飼育することで会社の印象をよくするための備品として考えられるため、必要経費として認められることが多いです。
また、防犯対策として番犬を設けることで経費計上できる可能性があります。
経費計上が出来ない場合
経費計上ができる条件は「事業に関係しているか」という点だったため、「事業に関係していない」場合は、経費計上ができません。
例えば、職場やオフィスに犬や猫がいることで、癒しを提供しており、社員のモチベーションを上げ、士気を高めたうえで、売上に貢献しているという考え方もあります。
しかし、明確な関連性が認められないため、このような場合は経費計上することは難しいです。
ペット関連費用の会計処理・勘定科目は?
購入から飼育まで費用は多くかかりますが、どのような勘定科目を使うのか?なかなかメジャーではないので、わからない人の方が多いと思います。
そこで、ペット関連費用の勘定科目について解説していくので、参考にしてください。
ペットの購入代金は「備品」として扱われる
ペットの購入代金の勘定科目は「備品」に該当します。
動物を「備品」とするのは心情的には心痛む部分があると思われますが、会計上、美術品などと同様に「備品」として計上されます。
犬・猫などのペットの耐用年数は8年です。
購入金額が30万円未満であれば全額その年の経費にできる
また、個人事業主や資本金1億円以下の中小企業の場合、備品の購入金額が30万円未満であれば、年間300万円を超過しない限り、少額減価償却資産として、全額をその年の経費にすることができます。
詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
必ずしも利用する必要はないのですが、特例を活用することで、早い段階で購入費の全額を経費化することができ、税金対策にも効果的なので、活用をおすすめします。
「生物」という勘定科目もありますが・・・
一方で、「生物」という勘定科目もありますが、この勘定科目は1体30万円以上の家畜として飼育され、生産活動を行っている豚や牛、馬、ヤギなどが対象になります。
1体30万円を超過する場合は、固定資産として減価償却する必要があります。
生物の具体的な耐用年数は、以下のように定められています。
(引用元:確定申告書作成コーナー『耐用年数(構築物/生物)』©国税庁)
耐用年数が明確に定められているため、高額な動物を購入した際には減価償却することで徐々に損金計上していくことを覚えておきましょう。
餌代や病院にかかる治療費の勘定科目
ペットを飼育していくにあたって、購入費だけではなく、餌代や治療費といった維持費が必要になります。
餌代やおやつ代、ペットシート代などの勘定科目は、「消耗品費」として計上するのが一般的です。
どうぶつ病院にかかる治療費などは「雑費」として計上しましょう。
ただ、ここでの勘定科目は明確な決まりなどはなく、勘定科目を深く考える必要はないので、全て雑費でも問題はありません。
ただし、後で見返す際にわかりやすいように記載しておくことが大切です。
マイクロチップ義務化に関する費用
令和4年6月1日から、ペットショップやブリーダーが販売する犬や猫に対してマイクロチップの装着が義務付けられています。マイクロチップの情報には飼い主の名前や住所、買っているペットなどの個人情報が登録されています。
ペットショップなどから購入した犬や猫に関しては既に装着されているため、費用は不要ですが、既に飼っているペットや譲り受けたペットに関しては、装着は努力義務とされているため、病院に問い合わせてみましょう。
費用は5,000~10,000円程度になるようです(通常の注射と同程度です)。
勿論、この制度に関する費用は、事業に関係するペットでないと経費計上できないので注意しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ペットの購入費用や飼育費用に関する経費計上について解説しました。
まとめると、
- ペット関連費用を経費にできるかどうかの最大のポイントは、「そのペットが事業に関係している」こと
- 経費計上が可能な具体的なケース:
- ドッグカフェ、猫カフェなどのペット関連事業を運営してる場合
- 広告塔としてペットを利用している場合
- 受付の熱帯魚やセキュリティ目的の番犬など、明確な事業目的がある場合
- ペット関連費用の会計処理:
- 購入費用は「備品」として計上。耐用年数は8年
- 30万円未満の備品は全額経費計上可能
- 餌代やペットシートなどの消耗品は「消耗品費」や「雑費」
- どうぶつ病院の費用は「雑費」
となります。
ペットにかかる費用は、正直安くはないため、経費として利用できるものに関しては可能な限り経費化していくことがおススメです。
その際にこの記事がお役に立てば幸いです。
それでは、また!
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