このような質問をいただきました。
早速、答えていきたいと思います。
株主名簿に押印は必要?
株主名簿に印鑑の押印は不要です。
具体的には株主名簿の保管・閲覧に際しては押印が不要です。
ただ、株主から株主名簿記載事項の記載した書面の交付を求められた場合に発行する「株主名簿記載事項証明書」には、代表取締役の記名・押印が求められます。
株主名簿と株主名簿記載事項証明書の違い
株主名簿 | 株主名簿記載事項証明書 | |
記載事項 | ・株主の氏名又は名称及び住所
・株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数) ・各株式の取得年月日 ・株券を発行している場合には株券の番号 |
・株主の氏名又は名称及び住所
・株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数) ・各株式の取得年月日 ・株券を発行している場合には株券の番号 |
代表者の記名・押印 | 不要 | 必要 |
目的 | 株主情報の管理 | 株主名簿記載事項を請求した株主への交付 |
株主名簿の詳しい内容については、こちらをご参照ください。
なぜ、株主名簿には押印が不要なのか?
これは、脱ハンコの流れを受けて書面申請における一部書類の押印省略、法務局への印鑑届出のオンライン化に関する通達が令和3年2月15日に発出されたからです。
これにより、法令に明確な根拠がない印鑑については押印が不要になりました。
たとえば、下記のようなものが押印不要になっております。
- 印鑑届出の代理人印
- 株主リスト
- 株主名簿
- 資本金の額の計上を証する書面
- 総数引受契約書
- 新株予約権の行使請求書
なぜ、株主名簿記載事項証明書には押印が必要になるか?
一方で、法令に明確な根拠のあるものは押印が必要です。
株主名簿記載事項証明書については会社法122条で記名・押印することが定められているからです。
第百二十二条 前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2 前項の書面には、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
今回の質問の場合
今回のクライアント様では、エンジェル税制の手続きの際に県から「株主名簿」の提出を求められています。
この場合だと、あくまで「株主名簿」を提出するのですから押印は不要になります。
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