確定申告では、所得税法によって定められている期間内に確定申告書を提出し、所得税を納付します。
確定申告書の提出の際には、税務署の窓口やe-Taxで提出する方法以外にも郵送での提出も可能です。
郵送であれば、税務署が開いていない時間や土日でも確定申告書を提出できます。
今回は確定申告書の主な提出方法に加え、郵送で提出する際の事前準備や封筒の書き方、注意点を解説します。
確定申告書の提出方法は郵送・e-Tax・税務署の窓口の3つ
確定申告書の提出方法は、以下の3つから選択できます。
- 郵送での提出
- e-Taxでの電子申告
- 税務署・確定申告会場窓口での直接提出
確定申告の提出方法には、それぞれ以下のメリット・デメリットがあります。
郵送 | e-Tax | 窓口 | |
---|---|---|---|
メリット | ・窓口に行く必要がない | ・1月から申告できる(ほかの方法では2月から) ・自宅や事務所で申告から納税までできる ・24時間いつでも提出できる ・還付をスピーディーに受けられる ・一度準備すれば翌年からはスムーズに申告できる(マイナポータルから控除証明書なども取得できる) ・添付書類の提出を省略できる |
・窓口の担当者に記載内容や書類の不備を確認してもらえる |
デメリット | ・誤りがあった場合にその場で指摘を受けられない(書類往復の時間がかかる) ・切手・封筒代がかかる |
・マイナンバーカードや利用者識別番号の取得に時間がかかる ・慣れていないと申請方法がわかりにくい場合がある |
・開庁時間内でしか対応してもらえない ・期限日直前は混雑する ・内容相談の場合は帳簿書類が必要になることがある |
なお、青色申告特別控除額を最大65万円受けるためには、e-Taxでの申告が必須条件です。
(引用元:『No.2072 青色申告特別控除』©国税庁)
より多くの金額を節税したい場合は、e-Taxを利用した青色申告がおすすめです。
確定申告書を郵送する際の事前準備
確定申告書を郵送する際に必要な事前準備は次の通りです。
- 確定申告書の郵送先を調べる
- 確定申告書を郵送する際の必要書類を用意する
- 確定申告書を郵送するための封筒を用意する
それでは、事前準備のそれぞれの詳しい内容を解説していきます。
確定申告書の郵送先を調べる
確定申告書の郵送先は直接提出する際と同様、納税地を管轄している税務署です。
開業後に住所が変更されていなければ、開業届を提出した税務署が郵送先に該当します。
税務署の調べ方は、国税庁の「国税局・税務署を調べる」を確認してください。
なお、一部の税務署では、確定申告書の郵送先に業務センターが指定されています。
上記の「国税局・税務署を調べる」で管轄の税務署を調べると、郵送先が税務署であるかまたは業務センターであるかを確認できます。
確定申告書を郵送する際の必要書類を用意する
確定申告書を郵送する際は、以下の書類を用意してください。
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカードや個人番号が記載された住民票の写しなど)
- 確定申告書
- 各種帳簿(青色申告決算書・収支内訳書など)
- 各種控除証明書類
なお、上記の書類はどの形式で確定申告をする場合でも共通して必要です。
各種控除証明書類について
各種控除証明書類については、いくつか種類があるので、それぞれみていきましょう。
社会保険料控除証明書
国民年金などの社会保険に加入している場合は、保険料は所得から全額控除されます。
10月から11月頃に日本年金機構から「控除証明書」が送られてくるので、確定申告書を提出する際に添付してください。
証明書が届かない、もしくは紛失した場合は、日本年金機構に連絡して送付してもらいましょう。
生命保険料控除証明書
生命保険料は、支払った金額に応じて一定額が所得から控除されます。
控除を受けるには、社会保険と同様に控除証明書の添付が必要です。こちらも10月から11月頃に保険会社から「生命保険料控除証明書」が送られてきます。
その他(小規模企業共済掛金控除証明書・地震保険料控除証明書・寄付金控除証明書)
小規模企業共済や地震保険の掛金・寄附金なども控除の対象です。
これらも、それぞれに証明書が発行されるので、確定申告書に添付しましょう。
確定申告書の提出時に必要な書類をより詳しく知りたい方は、国税庁の「申告書の提出」をご覧ください。
確定申告書を郵送するための封筒を用意する
確定申告に必要な書類をすべて用意したら、まとめて同封し郵送するための封筒を用意しましょう。
封筒のサイズは、A4サイズの書類の封入に最適な角形2号が一般的です。
確定申告書の郵送用封筒の書き方
確定申告書の郵送用封筒には、まず封筒の裏面に、ご自分の氏名・自宅の住所・郵便番号を記載します。
あて先は、A4サイズの封筒であれば、表面中央に、「○○税務署御中」と記載しましょう。あて先の住所は、あて先の右側の部分に書きます。
加えて、封筒の表面に朱書きで「所得税確定申告書在中」と記載し、赤色の四角形で囲う必要があります。記載する箇所は「○○税務署御中」の左下です。
郵送用封筒には、切手を貼って送付します。
切手代は最寄りの郵便局に郵送物を持っていくか、郵便局のホームページで調べられます。
切手代を詳しく知りたい方は、日本郵政の「第一種郵便物 手紙」をご覧ください。
確定申告書を郵送する際の注意点
確定申告書を郵送で提出する場合は、郵送方法・郵送形式・郵送期限を把握しておきましょう。
確定申告書は「信書」に該当する
確定申告書は「信書」に該当します。
信書に該当するため「郵便物(第一種郵便物)」もしくは「信書便物」として郵送しなければなりません。
郵便物として郵送できる形式は、レターパック・普通郵便・定形郵便などが挙げられます。
ゆうパックなどの宅配便では、確定申告書は郵送できないので注意してください。
期限内に郵送する
確定申告書は所得税法によって定められている申告期限までに、税務署に到着するように郵送しましょう。
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申告期限を過ぎた場合でも確定申告書は受理されますが、「期限後申告」として扱われ無申告加算税や延滞税が加算される可能性があります。
提出期限日が近くなってしまった場合、ポスト投函ではなく郵便局の窓口から特定記録郵便・簡易書留などで送るのが確実です。
確定申告書を郵便や信書便で提出した場合は、郵便物や信書便物の通信日付印(消印)が示す日付が提出日とされます。
なお、郵便や信書便以外で送付した場合は、税務署へ到着した日が提出日に該当します。
確定申告書の郵送期限を詳しく知りたい方は、国税庁の「税務手続に関する書類の提出時期」をご覧ください。
確定申告書は正本のみを郵送する
以前は、確定申告書の控えを返信用封筒とともに郵送すると、税務署が収受日付印を押なつして返送していました。
しかし、2025年1月以降、税務署では確定申告書の控えに収受日付印の押なつを実施しません。

そのため、確定申告書を郵送する際は、控えや返信用封筒は同封せず、確定申告書の正本と必要書類のみを郵送しましょう。
確定申告書を税務署に提出した事実は、保有個人情報の開示請求や納税証明書の交付請求などで確認できます。
なお、2025年1月以降、当面の間は返信用封筒を同封すると、申告書等を収受した日付と税務署名が記載されたリーフレットが返送されます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
まとめると、
- 確定申告書は、窓口で提出する方法、e-Taxでの電子申告のほか、郵送での提出が可能
- 郵送の場合は、納税地を管轄する税務署宛に本人確認書類のコピーや確定申告書、各種控除証明書類などの必要書類を同封したうえで提出する
- 確定申告書は「郵便物(第一種郵便物)」もしくは「信書便物」として郵送する必要がある
- 郵送できる形式は、レターパック・普通郵便・定形郵便など
- 郵送期限を確認する必要がある(毎年3月15日前後)
- 確定申告書を郵便や信書便で提出した場合は、郵便物や信書便物の通信日付印(消印)が示す日付が提出日になる
といったところです。確定申告書を郵送する際は、上記のことに気を付けて手続きを行ってください。
この記事が確定申告をする皆さんのお役に立てれば幸いです。
今後も税務に役立つ記事を発信していきますので、またお越しいただければ嬉しいです。
それでは、また!
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