以前、社会保険料控除の記事を書かせていただきました。
社会保険料控除は、確定申告をすることで所得から1年間の社会保険料を差し引くことができる制度です。
その社会保険料控除は、国民年金も対象となります。
とここで、
との質問をいただきました。
今回は国民年金の前納と社会保険料控除について解説していきます。
国民年金の前納とは?
国民年金保険料は、一定期間の保険料をまとめて前払い(前納)することができます
しかも、まとめて前払いすると割引が適用されるのでおトクです。
では、前納の割引についてみていきましょう。
前納の種類・納付額・割引額
前納の種類 | 2年前納 | 1年前納 | 6カ月前納 | 当月末振替
(早割) |
毎月納付 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1回あたりの納付額 | 納付書払い クレジットカード払い |
398,590円 | 200,140円 | 101,050円 | ― | 16,980円 |
口座振替 | 397,290円 | 199,490円 | 100,720円 | 16,920円 | 16,980円 | |
割引額 | 納付書払い クレジットカード払い |
15,290円 | 3,620円 | 830円 | ― | ー |
口座振替 | 16,590円 | 4,270円 | 1,160円 | 60円 | ー |
留意点
- 1回あたりの納付額は令和6年度の金額です。
- 割引額は納付書により毎月納付した場合と比較した額です。
- 口座振替の毎月納付(翌月末日振替)と早割(当月末日振替)の違い
このように、国民年金の前納をすると割引がつきお得です。
ちなみに、前納をする際は専用の納付書を発行する必要があることから、お近くの年金事務所にお問い合わせください。
ここで…
国民年金の保険料は1年間に支払った全額が控除される
国民年金の保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。
社会保険料控除は1月1日から12月31日までの1年間に支払った社会保険料の全額を所得から差し引く制度で、確定申告で控除されます。
社会保険料控除を受ければ、納付した国民年金保険料の分だけ課税所得が少なくなるため、所得税が住民税の納税額が少なくなります。
ここで1年間に支払った社会保険料の全額を確定申告で控除できるというのがキモです。
国民年金の前納は社会保険料控除の対象になる
ここまでくるとお察しだと思いますが、国民年金の前納は社会保険料控除の対象となります。
確定申告で国民年金の保険料の控除を受ける際には、前納制度を利用して控除額を調整することができると覚えておいてください。
2年前納した場合、2年分の「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」がまとめて郵送され、納付した年に2年分まとめて控除を受けるか、それぞれの年に控除を受けるかを選択できます。
そのため、所得の多い年に2年分まとめて控除を受けるといった、控除額の調整によって所得税の納税額の調整が可能です。
また、まとめて控除を受けるか、それぞれの年に控除を受けるかは、確定申告のときに選択でき、事前の届出などは必要ありません。
家族の国民年金保険料も控除の対象になる
また、家族の国民年金保険料も控除の対象となる点も、確定申告で国民年金の保険料の控除を受ける際の控除額計算のポイントといえるでしょう。
生計を一にする配偶者や子供などの分の国民年金保険料を納付している人は、家族分の国民年金保険料についても控除を受けることができます。家族の中で誰が納付して、確定申告すると、効果的に節税できるか計算して選ぶとよいでしょう。
一般的には、家族の中で最も課税所得額の大きい人が納付し、控除を受けると節税効果も高まります。
未納分の国民年金保険料を納付したら控除の対象になる
他にも、未納分の国民年金保険料を納付した場合、納付した年に社会保険料控除の対象となります。
国民年金保険料は、納付期限から2年以内であれば未納分を納付できますが、2年を超えると納付できなくなってしまうので、未納分がある場合は忘れずに納付してください。
また、未納分を納付するタイミングによっては「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」に記載された金額と、実際に納付した金額が合わない可能性もあります。
控除証明書の金額を超える金額の国民年金保険料を支払った場合は、保険料の領収書など支払いの根拠になる書類を添付して確定申告してください。
おわりに
いかがだったでしょうか?
この記事では、国民年金の前納と社会保険料控除について解説しました。
国民年金の前納制度を利用することで、保険料の割引を受けられるだけでなく、確定申告での社会保険料控除の対象にもなります。
前納した場合、2年分の控除をまとめて受けるか、それぞれの年に分けて受けるかを選択できるため、所得の多い年にまとめて控除を受けることで節税効果を高めることが可能です。
所得が多い年は是非活用を検討してみたください。
また、家族の国民年金保険料も控除の対象となるため、場合によっては家族全体での節税対策の検討をしてみてください。
さらに未納分があればそちらも社会保険料控除の対象となるため、忘れずにお支払いを!
この記事が、皆様の確定申告や節税対策に役立つ情報となれば幸いです。
今後も、税務に関する有益な情報を提供していきますので、ぜひご期待ください。
それでは、また!
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