自分で確定申告したけど、思ったより税金が高い・・・
もっと節税できる方法がないかしら?
ということで、今回は節税に大きく関わる「控除」について、パパッと全網羅していこうと思います。
そもそも「控除」とは?
控除とは、「一定の金額を差し引く」という意味です。
国税庁では控除の目的として、最低生活費を保証することを挙げています。収入から控除を差し引くことで、収入が少ない場合でも最低限の生活費が残されやすくなるんです。
そして、控除には世帯間の税負担を公平にする目的もあります。配偶者の所得が少ない場合や子どもがいる場合、ひとり親の場合などはそれぞれに控除が定められ、所得税額が減るように調整されているのです。
「所得控除」と「税額控除」
この「控除」には、大きく2つに分けて「所得控除」と「税額控除」があります。
- 「所得控除」・・・課税対象になる所得金額を減らす。
- 「税額控除」・・・税金そのものから差し引いて減らす。
それぞれどの段階で差し引かれるかというと、
となります。
「所得控除」と「税額控除」はどっちが有利?
ちなみに実際に節税される額ですが、所得控除については税率をかけた部分が、節税額になるので要注意。
- 所得控除・・・所得控除額×税率
- 税額控除・・・税額控除額
この仕組み上何が起こるかというと・・・
所得税率が低い(低所得)のうちは税額控除が有利になる場合が多く、
逆に所得税率の高い高所得者が多額の寄付金をする場合などは所得控除が有利になることがあるんです。
それでは所得控除と税額控除、2つの一覧を見ていきましょう!
まずは所得控除から!
所得控除全15種類一覧
控除の種類 | 概要 | 控除額 |
雑損控除 | 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される | 以下のいずれか多い方
・(差引損失額)-(総所得金額等)×10% |
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った場合に適用される ※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる |
(支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円
※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額×5% |
社会保険料控除 | 健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用される ※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる |
支払った保険料の合計 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される | 支払った掛金の合計額 |
生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される | 一定の方法で計算した金額 |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った場合に適用される | 一定の方法で計算した金額 (最高5万円) |
寄附金控除 | ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄付をした場合に適用される | 「寄附金支出合計額」と 「所得 ×40%」 のいずれか少ない方-2,000円 |
障害者控除 | 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される | 一人につき、 ①障害者27万円 ②特別障害者40万円 ③同居特別障害者75万円 |
寡婦(寡夫)控除 | 配偶者と死別または離婚して扶養家族がいる場合に適用される ※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更 |
27万円 (一定の要件を満たす場合35万円) |
ひとり親控除 | 納税者がひとり親であるときに適用される ※ひとり親控除は令和2年分の所得税から適用 |
35万円 |
勤労学生控除 | 学校に行きながら働いている場合に適用される ※ただし、前年分の合計所得金額が75万円以下 |
27万円 |
配偶者控除 | 配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用される | ①一般控除対象配偶者:最大38万円 ②老人控除対象配偶者:最大48万円 (控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上) |
配偶者特別控除 | 納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円以上133万円未満である場合に適用される | 配偶者の所得金額によって 最大38万円 |
扶養控除 | 16歳以上の子供や両親などを扶養している場合に適用される | ①一般の控除対象扶養親族:38万円 ②特定扶養親族:63万円 (扶養親族が19歳以上23歳未満の方) ③老人扶養親族:最大58万円 |
基礎控除 | すべての人に適用される | 48万円 (所得合計が2,4000万円以下の場合) |
参考:国税庁『No.1100 所得控除のあらまし』
税額控除の一覧
税額控除については、実は所得税法に設けられてるのは「配当控除」「外国税額控除」2種類のみで、残りはその時々の投資促進や雇用促進など政策目的のため、租税特別措置法で臨時的に設けられています。
なので、ちょいちょいラインナップは変わると思っていてください。
今回は個人の方が使える可能性の高い税額控除を一覧にしました。
控除の種類 | 概要 | 控除額 |
配当控除 | 法人から受ける配当などについて 一定の控除がある |
配当控除の対象となる配当所得の金額×10% (ただし、課税総所得金額が1000万円超になると一部×5%) |
外国税額控除 | 居住者が外国所得税を 納付する場合に適用 |
外国所得税額 |
住宅借入金等特別控除 | 一定の要件を満たす住宅の新築、取得又は増改築等をした場合に、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額を基として計算した金額を一定期間控除するもの | 年末借入金等の残高×1% (限度額40万円) |
認定住宅新築特別税額控除 | 認定長期優良住宅又は認定低炭素住宅の取得等をした場合に、標準的なかかり増し費用を基として計算した金額を控除するもの | 年末借入金等の残高×1% (限度額50万円) |
特定増改築等住宅借入金等特別控除 | 一定の要件を満たす改修工事を含む増改築等を行った場合に、特定の増改築等に係る借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額を5年間控除するもの | ①バリアフリー改修費費用等×2% ②(年末借入金等の残高-①)×1%控除額=①+② |
既存住宅に係る特定の改修工事等をした場合の特別控除 | 一定の要件を満たす改修工事又はこれらの改修工事を併せて行った場合に、一定の金額を控除するもの | 標準的な費用の額×10% |
住宅耐震改修特別控除 | 自己の居住の用に供する家屋について住宅耐震改修をした場合に、一定の金額を控除するもの | 標準的な費用の額×10% |
公益社団法人等寄附金特別控除 | 公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人のうち行政庁等が認めた法人に対して支出した寄付金がある場合に適用されるもの | ①(公益社団法人等への寄付金の額ー2,000円)×40% ②その年の配当控除前の所得税額×25%①or②のいずれか低い金額 |
認定NPO法人等寄附金特別控除 | 認定NPO法人等に対して一定の寄附金を支払った場合に、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除するもの | ①(認定NPO法人への寄付金の額ー2,000円)×40% ②その年の配当控除前の所得税額×25%ー公益社団法人等寄付金特別控除額①or②のいずれか低い金額 |
政党等寄附金の特別控除 | 政党又は政治資金団体に対して政治活動に関する一定の寄附金を支払った場合に、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除するもの | ①(政党等への寄付金の額ー2,000円)×30% ②その年の配当控除前の所得税額×25%①or②のいずれか低い金額 |
税額控除の控除額、必要書類はコチラで確認できます。
控除を受けるために必要な手続きは
所得控除・税額控除を受けるためには、主に次の2点が必要です。
- 確定申告
- 必要書類の添付
控除を受けるためには、確定申告で必要事項を記載し、控除額の計算をする必要があります。また、税額控除の種類によって異なりますが、さまざまな必要書類(各種証明書、登記簿謄本など)を用意し、確定申告書に添付する必要があります。
必要書類は所得控除・税額控除によって異なるため、どの書類を用意したらよいか不明な場合は、税務署や税理士などの専門家にあらかじめ相談するようにしましょう。
控除を受けるには事前準備が必須
いかがだったでしょうか?
所得控除・税額控除ともに、生活に身近なものも多いため適用できる人も多くいるはずです。
ただし、控除には一定の書類の提出が必要となるものが多いので、適用したい場合には、添付書類の準備を忘れないようにしてください。
控除の種類によって必要な書類は違いますので、詳しくはそれぞれの控除についての国税庁のHPなどを確認し、事前に準備をしておきましょう。
また、多くの控除が自動的に適用されるものでなく、確定申告をしなければ恩恵をうけられません。
要は知らなきゃ損!なんです。
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しっかり準備して、節税していきましょう!
それでは、また!
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