年末調整の期限はいつまで?提出スケジュールを従業員・会社別に解説

年末調整・法定調書

11月がもう少しで終わろうとしています。

バックオフィスでは年末調整の手続きが進みつつ、進捗の悪い会社では、「あれ、結局年末調整っていつまでに終わらせればいいんだっけ?」なんて話もでるころではないでしょうか?

本記事では、年末調整の手続きの流れや提出期限に遅れた場合の対応、提出後の修正方法などについて詳しく解説します。

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年末調整の一般的なスケジュールは?

年末調整は、例年10月頃から翌年1月にかけて行われる、給与所得者のその年の所得税額と、給与等から天引きされた源泉徴収税額との差額を精算する手続きです。

一般的に従業員が勤務先に年末調整に関する必要書類を提出するのはその年の11月頃で、年末調整後、翌年1月31日までに会社は関係書類を税務署などへ提出します。

この期間中、会社側と従業員側のそれぞれで対応すべきことを一覧表にしてみましょう。

会社の対応 従業員の対応
10月中旬〜 ・従業員に申告書を配布する
11月 ・中途入社の従業員の源泉徴収票を提出する
・従業員が記入した各種申告書や証明書などを回収する
・源泉徴収票を会社へ提出する
・各種申告書に必要事項を記入し、会社へ提出する
・申告に必要な各種証明書を会社へ提出する
12月 ・従業員ごとに、源泉徴収税額と確定した所得税額の差額を計算する
・差額を精算(還付または徴収)する
※会社によっては1月に行う場合もあります
・源泉徴収票を作成する
翌年1月 ・1月10日(納期の特例の場合1月20日)までに年末調整後の源泉徴収税額を納付する
・各種法定調書を作成し、1月31日までに規定の提出先へ提出する

といった感じです。それでは詳しくみていきましょう。

従業員側の年末調整の書類の提出期限はいつ?

年末調整の作業はその年の10月から翌年の1月までにかけて行われ、一般的に従業員が勤務先へ申告書等の書類を提出する期限は、その年の11月上旬です。ただし、会社によって書類の提出期限が異なる場合が多いため、正確な提出期日は経理担当者等に確認しましょう。

その後、従業員から提出された書類をもとに会社側で年末調整を行います。

会社は、11月中旬〜12月下旬の約1ヶ月半ですべての従業員の年末調整および精算手続きをする必要があります。そのため、作業に遅れが発生しないよう、担当者から通達された提出期限は必ず守るようにしてあげてください。

なお、従業員が会社に提出する書類は以下のとおりです。

年末調整で従業員が会社に提出する書類
すべての給与所得者が提出 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
対象者のみ提出 給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書

このうち、控除適用を申告するには、控除証明書などの添付が必要です。

たとえば、生命保険や地震保険、小規模企業共済などに加入している場合は、例年10月頃に加入する保険会社から控除証明書が登録している住所(自宅等)に届きます。

年末調整の時期まで失くさずに保管して、必ず提出するようにしましょう。

年末調整の書類の提出が遅れた場合

控除証明書の紛失などのトラブルが原因で書類の提出が遅れる場合でも、翌年1月31日までに会社が各種法定調書を税務署へ提出できれば一応問題はありません。

控除証明書を紛失した場合、基本的には発行元に問い合わせることで再発行が可能です。

しかし、年末調整の時期は再発行の申請が集中するため、申請が遅れると提出期限に間に合わなくなる可能性があります。また、会社への書類提出があまりにも遅れると、年末調整で控除が適用されないリスクも生じます。

そして、申請の大幅な遅れは経理や人事・労務の方々に嫌われるリスクも生じます。

なので、余裕をもっての提出を心がけてください。また、年末調整に間に合わなくても確定申告で各種控除を適用することもできるので、書類を紛失し再発行する場合は、確定申告をすることも視野にいれましょう。

年末調整の書類の提出漏れ、年末調整に間に合わない場合は確定申告を!

従業員自身の書類提出の遅れが原因で年末調整で控除が適用されなかった場合は、翌年、従業員自らが確定申告を行うことで控除を受けられます。

確定申告の申告書提出期間は、例年2月16日〜3月15日です。

申告書提出後の修正はいつまで可能?

年末調整の申告書を会社に提出したあとに修正をしたい場合、一般的には翌年1月31日までであれば、会社の担当部署を通して修正でなくもないです。

ただし、会社側は翌年1月10日(特例の場合は20日)までに源泉徴収税額の納付を行う必要があり、1月31日より前に源泉徴収票が発行される可能性も高いです。

源泉徴収票が発行されてしまうと修正が難しいため、修正が必要だと判明した際には、すみやかに勤務先の担当部署へ修正可能かどうか確認しましょう。

会社側の年末調整の各書類の提出期限はいつ?

改めて会社の年末調整の対応スケジュールをみてみましょう。

会社の対応
10月中旬〜11月上旬 ・従業員に申告書を配布する
11月中旬~下旬 ・中途入社の従業員の源泉徴収票を提出する
・従業員が記入した各種申告書や証明書などを回収する
12月中 ・従業員ごとに、源泉徴収税額と確定した所得税額の差額を計算する
・差額を精算(還付または徴収)する
※会社によっては1月に行う場合もあります
・源泉徴収票を作成する
翌年1月 ・1月10日(納期の特例の場合1月20日)までに年末調整後の源泉徴収税額を納付する
・各種法定調書を作成し、1月31日までに規定の提出先へ提出する

会社として提出する各書類の提出期限という意味では、下記があります。

源泉徴収票の作成・提出:従業員へは12月の最終給与支給時

年末調整の計算が終われば、従業員ごとに源泉徴収票を作成します。

源泉徴収票は、①税務署への提出用、②本人への交付用、③市区町村へ提出する給与支払報告書(個人別明細書)で構成されています。

そのうち、本人への交付用の源泉徴収票は、従業員に年末調整の結果をまとめた「従業員の確定申告」の控えとも言えます。

年間の所得額や控除額の合計、源泉徴収税額等がすべて掲載されますので、従業員は自分の年収も確認できます。従業員へは12月の最終給与支給時に交付します。

所得税徴収高計算書(納付書)の作成と提出と納付:1月10日(特例は1月20日)

年末調整の計算が完了すれば、源泉徴収票をはじめ税務署や市区町村に提出する法定調書の作成・提出、および源泉徴収税の納付を行います。

源泉徴収税の納付期限は、法定調書の提出期限よりも早く、「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成したら年末調整を行った翌年の1月10日までに税務署に対して提出・納付します。ただし、納期の特例事業者に関しては、1月20日が納付期限となります。

法定調書の作成・提出:1月31日まで

法定調書は60種類あり、その中で「年末調整に関する法定調書」は以下の4種類あります。

提出が必要な4つの法定調書

  1. (A) 支払調書
    源泉徴収義務者(源泉徴収税を納める義務がある企業のことをいいます)が、「誰に」「どのような内容で」「いくら支払ったのか」といった詳細を記した書類です。
    主な支払調書に「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」があります。これは、弁護士や税理士などの専門家への報酬、作家やデザイナーなどへの原稿料、広告宣伝のための料金、社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬等を支払った際に作成します。支払先が個人の場合、マイナンバーの記載が必要になりますので、支払先への確認も忘れないようにしましょう。
    支払調書は、年末調整を行った翌年の1月31日を期限として、法定調書合計表とともに税務署に提出します。また、義務ではありませんが、支払調書は支払先へも送付するのが通例となっています。
    ※国税庁:報酬、料金、契約及び賞金の支払調書(同合計表)フォーマット
  2. (B) 法定調書合計表
    法定調書合計表とは、税務署に提出する各種法定調書を集計した表のことをいいます。従業員に渡した「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」や「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」、「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」をとりまとめて作成します。
    従業員ごとに法定調書を提出すると計算の手間が発生するので、事業主体ごとに内容を集計して提出することになっています。
    法定調書合計表は、年末調整を行った翌年の1月31日までに税務署に提出する必要があります。
    ※国税庁:給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表フォーマット
  3. (C) 源泉徴収票
    12月に従業員へ渡した源泉徴収票と同じ内容のものを、年末調整を行った翌年の1月31日までに税務署にも提出します。
    ※様式については、国税庁ホームページ「給与所得の源泉徴収票(同合計表)」を参照ください。
  4. (D) 給与支払報告書
    給与支払報告書は、事業者から市区町村へ提出する書類で、これをもとに次年度の住民税額が決まります。給与支払報告書には、従業員ごとにまとめた「個人別明細書」と事業所全体の個人別明細書をまとめた「総括表」の2種類があります。給与システムで作成する場合、源泉徴収票と同時に作成できますが、手書きの場合は給与支払報告書(2枚)と源泉徴収票(2枚)が4枚複写になっている用紙などを使用すると便利です。
    給与支払報告書は、年末調整のあった翌年の1月31日までに、従業員の居住区となる市区町村に提出します。総括表では従業員の居住区ごとに分類し作成します。
    ※総務省:給与支払報告書(総括表および個人別明細書)フォーマット

支払調書の提出と年末調整の結果を反映した源泉徴収税額の納付が完了すれば、年末調整は終了となります。

おわりに

いかがだったでしょうか?

毎年恒例の年末調整ですが、今年も忙しくなりそうですね。

提出書類も多いですが、提出期限とともにしっかり把握していれば慌てずに手続きをすることができます。

そして年末調整をスムーズに実施・完了させるためには、早い段階での準備や着手が鍵です。できるだけ前倒しにスケジュールを組み、実施していきましょう。

そのほか、今年の年末調整の変更点を確認しておきたい方はこちらの記事もご覧ください。

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それでは、また!

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