小規模事業者等が販路を開拓するときなどにかかる費用の一部を補助する中小企業庁の小規模事業者持続化補助金<一般型>の受付が、2022年3月29日からスタートします!
小規模事業者持続化補助金の概要と増設された申請枠や過去の採択率について紹介します。
補助額の最高額200万円、補助率の最高率3/4と、かなり魅力的な内容になっているのでぜひ活用したいものです。
参考:全国商工連合会のページ(https://r3.jizokukahojokin.info/)
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)は、小規模事業者が自社の経営を
見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生
産性向上の取組を支援する制度です。
この補助金の目的は、
「小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するために取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ること」
(引用元:公募要領|© 全国商工会連合会)
にあります。
活用事例はこんな感じ👇
この補助金の概要を知るためにも、まずは、1)公募期間、2)どのような経費にこの補助金を使うことができるのか、3)どのような事業者が対象となるのか、4)過去の採択率についてみていきましょう。
公募期間
今年度の公募は第8回、第9回、第10回、第11回と合計4回行われます。それぞれの受付締切日は以下のとおりです。
<各公募の受付締切日、( )内は事業支援計画書の提出締切日>
- 第8回:2022年6月3日(5月27日)
- 第9回:2022年9月中旬(9月中旬)
- 第10回:2022年12月上旬(12月上旬)
- 第11回:2023年2月下旬(2月下旬)
どのような経費に使えるのか
この補助金は、補助対象の事業者(小規模事業者等)が、補助対象となる経費を計上した場合に、その費用を補助する形で給付されます。
対象になる経費は以下のとおりです。
①機械装置等費
「高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア」「衛生向上や省スペース化のためのショーケース」「販路開拓のための特定業務用ソフトウェア」など
②広報費
「チラシ・カタログの外注や発送」「新聞・雑誌・商品・サービスの広告」「看板作成・設置」など
③ウェブサイト関連費
「商品販売のためのウェブサイト作成や更新」「インターネットを介したDMの発送」「インターネット広告」など
※ウェブサイト関連費のみで申請することはできません。ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の1/4を上限とします。
④展示会等出展費
「展示会出展の出展料」「関連する運搬費」「通訳料、翻訳料」など
⑤旅費
「展示会への出展や新商品生産のための原材料調達の調査で宿泊したときの宿泊代」など
⑥開発費
「新製品・商品の試作開発用の原材料の購入」「新たな包装パッケージに係るデザイン費用」「業務システム開発費」など
⑦資料購入費
「補助事業遂行に必要不可欠な図書」など
⑧雑役務費
「販路開拓の業務・事務を補助するために雇ったアルバイトの賃金、派遣労働者の派遣料、交通費」など
⑨借料
「補助事業遂行に直接必要な機器・設備のリース料・レンタル料」など
⑩設備処分費
「既存事業において使用していた設備機器の解体・処分」「既存事業において借りていた設備機器の返却時の修理・原状回復」など
⑪委託・外注費
「店舗改装・バリアフリー化工事」「利用客向けトイレの改装工事」「製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事」「移動販売を目的とした車の内装・改造工事」など
どのような事業者が対象か
この補助金の対象となる事業者は、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
要件1:小規模事業者
会社、営利法人、個人事業主、特定非営利活動法人などで、常時使用従業員数が、
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
の場合において、小規模事業者とみなされます。
要件2:(法人のみ)資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されていない
要件3:確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない
要件4:下記2つの事業において、本補助金の受付締切日の前10カ月以内に、先行する受付締切回で採択を受けて補助事業を実施した(している)者でない
- 2019年度補正予算、小規模事業者持続化補助金<一般型>
- 2020年度第3次補正予算、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>
図解するとこんな感じ👇×がついてるところで採択された人は応募できません。
(引用元:ガイドブック|© 全国商工会連合会)
過去の採択率
2019年度補正予算、小規模事業者持続化補助金<一般型>(第6回締切分)の採択率は、9,914件の申請に対して6,846件の採択で69%でした。
7割くらいが採択されるイメージになります。
補助上限額と補助率
補助上限額と補助率は以下のとおりです。枠については次の章で解説します。
通常枠 | 50万円 |
賃金引上げ枠 | 200万円 |
卒業枠 | 200万円 |
後継者支援枠 | 200万円 |
創業枠 | 200万円 |
インボイス枠 | 100万円 |
いずれの枠も補助率は原則2/3ですが、賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4になります。
申請は6つの枠から選ぶ
この補助金には「通常枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠」の6つの枠があり、そのなかから自社にマッチする1つを選んで申請します。
枠によって補助上限額が異なり、申請は1枠しかできないので、もし複数の枠にマッチする場合は有利なほうを選択するようにしましょう。
通常枠の金額がもっとも低く、残り5つは今回新設された枠です。
新設された5つの枠の紹介
新設された「賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠」の要件は次の通りです。
賃金引上げ枠
事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者
卒業枠
常時使用する従業員(※1)を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者
※1:常時使用する従業員とは・・・
本事業では、従業員の数に会社役員(従業員との兼務役員は除く)、個人事業主本人および同居の親族従業員、(申請時点で)育児休業中・介護休業中・疾病休業中または休職中の社員(*法令や社内就業規則等に基づいて休業・休職措置が適用されている者)は含めないものとします。また、雇用契約期間の短い者や、正社員よりも所定労働時間・日数の短い者についても、パート労働者として、「常時使用する従業員」の数には含めない場合があります。
(引用元:申請時によくある質問|© 全国商工会連合会)
後継者支援枠
将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」(※2)のファイナリストになった事業者
※2:アトツギ甲子園とは、中小企業などの後継者たちが新規事業アイデアを競うイベント
創業枠
産業競争力強化法に基づく認定市区町村、または、認定市区町村と連携した認定連携創業支援等事業者が実施した特定創業支援等事業による支援を公募締切時から起算して過去3カ年の間に受け、かつ、過去3カ年の間に開業した事業者
インボイス枠
2021年9月30日~2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者、または、免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス(適格請求書)発行事業者に登録した事業者
申請手続きの流れ
申請手続きの流れは下記のようになっています!
(引用元:ガイドブック|© 全国商工会連合会)
手続き全部を書いていると記事が長くなってしまうので、具体的な手続きはガイドブックをご覧ください!
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、先行き不透明な中、事業者が販路を開拓したり生産性を高るために、貴重な資金になります。
上限額が最大200万円の補助金は大きな魅力ですね。
一方で、申請には各種計画書の作成などの手間がかかります。この補助金を申請するには、経営計画書、補助事業計画書、事業支援計画書などの作成が必須だからです。
しかし、少々提出資料は多いですが、補助金の目的にあるように、手続きの流れの中で経営計画を考えることになるので、とても良い機会になるとも思います。
経営環境が刻一刻と変わる現代の中で、地に足のついた計画を立てられるのは経営者の必須のスキルでもあるように思うのです。
そういった意味でも、「小規模事業者持続化補助金」に是非チャレンジしてみていただきたいです!
きっと2重、3重に得られるものがあるとかと思います。
それでは、また!
コメント