前回『小規模企業共済等掛金控除』について書かせていただきました!
そこで『小規模企業共済等掛金控除』のデメリットとして、
- 12か月未満で解約すると掛け捨てになってしまう(共済金が受け取れない)
- 20年未満で解約すると元本割れする
の二つを挙げました。
そのうちの二つ目『20年未満で解約すると元本割れする』については実は対処法があるのでみていきましょう。
小規模企業共済の共済金を受け取る4つのパターン
小規模企業共済の共済金を受け取るパターンは4つあります。
- 共済金A
- 共済金B
- 準共済金
- 解約手当金
受け取る対象が①法人の経営者/役員の場合、②個人事業主/共同経営者の場合で条件が若干違うので、各々みていきましょう。
法人の経営者/役員
共済金等の種類 | 請求理由 |
---|---|
共済金A | ・法人解散 |
共済金B | ・役員を退任(65歳以上/病気・怪我の理由) ・共済契約者の死亡 ・老齢給付(65歳以上で180か月以上の掛金払込をしたとき) |
準共済金 | ・法人解散 ・役員を退任(65歳未満/病気・怪我以外の理由) |
解約手当金 | ・任意解約 ・機構解約(掛金12か月以上滞納) |
個人事業主/共同経営者
共済金等の種類 | 請求理由 |
---|---|
共済金A | ・個人事業廃業 ・共済契約者の死亡 ・共同経営者を退任 |
共済金B | ・老齢給付(65歳以上180か月以上の掛金払込) |
準共済金 | ・個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなり解約 |
解約手当金 | ・任意解約 ・機構解約(掛金12か月以上滞納) ・共同経営者の任意退任による解約 ・個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが解約 |
という感じです。その上で先述のデメリットをみていきましょう。
小規模企業共済のデメリット
小規模企業共済デメリットは、先述した通り、
- 12か月未満で解約すると掛け捨てになってしまう(共済金が受け取れない)
- 20年未満で解約すると元本割れする。
の2つになります。
1つ目の掛金12ヶ月未満が掛け捨てになるのは、支払事由の「準共済金」と「解約手当金」が対象になります。これら共済金は一定月数の掛金が払い込まれていないと請求理由によっては支払いの対象になりませんので注意が必要です。
そして2つ目は、20年経たずに解約すると元本割れが発生してしまいます。
小規模企業共済は加入資格がある方は手頃な掛金で退職金づくりを始めることができる反面、解約時期や解約理由によっては元本割れが生じてしまいますので慎重に判断する必要があるでしょう。
では、一つずつ詳しく見ていきましょう。
加入12か月未満は掛け捨て
小規模企業共済の共済金を加入してから短い期間で請求する時は、まったくお金が返ってこないこともあります。
つまり、共済金の種類と掛けていた期間の組み合わせによって全額掛け捨てになるのです。
掛けていた期間は、
- 払込月数が6ヶ月未満
- 払込月数が12ヶ月未満
のいずれかで取り扱いが変わります。
払込月数6ヶ月未満
加入から6ヶ月未満で、共済金A・共済金Bの場合は共済金を請求しても支払われませんので注意しましょう。
共済金等の種類 | 請求理由 |
---|---|
共済金A | ・個人事業廃業 ・共済契約者の死亡 ・共同経営者を退任 |
共済金B | ・老齢給付(65歳以上180か月以上の掛金払込) |
払込月数が12ヶ月未満
加入から12ヶ月未満で準共済金・解約手当金に該当する理由で共済金を請求しても支払われませんので注意しましょう。
共済金等の種類 | 請求理由 |
---|---|
準共済金 | ・個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなり解約 |
解約手当金 | ・任意解約 ・機構解約(掛金12か月以上滞納) ・共同経営者の任意退任による解約 ・個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが解約 |
このように小規模企業共済は加入から短期間での共済金請求は支払い対象外になっていますので注意しましょう。
加入期間20年未満での任意解約は元本割れする
共済金を掛けている途中20年(240ヶ月)未満で任意解約すると元本割れが発生します。
請求理由が解約手当金をとして判断されるのは、
- 任意解約
- 機構解約(12か月以上掛金滞納)
- 個人事業を法人化し、加入資格はなくならなかったが解約をした時
の3つの場合になります。
これらの請求理由により小規模企業共済を解約する時は、掛金納付月数を確認してから手続きをしないと元本割れの可能性が高くなります。
急な資金繰りなどやむをえず解約しなければいけない時を除けば、掛金を減額したり、貸付制度を受けたりなど元本割れを回避する別の方法も検討されたほうがいいと思います。
小規模企業共済を元本割れせず受け取るには?
その不安を解消するには、元本割れが発生する仕組みを覚えればよいと思います。そのためには共済金請求について詳しく学ぶといいです。
共済金請求は、先ほどの4つの受け取りパターンのことです。
金額は概ね、
共済金A>共済金B>準共済金>解約手当金
と順番に減額され、20年未満での解約手当金手続きに関しては当然ながら元本割れが発生してしまい損をします。
「20年未満だと元本割れ」は解約手当金として任意解約した場合だけ!
ここで注意したいことは、「加入20年未満で元本割れする」というのは任意解約したときのみ、ということです。
つまり、他の理由で加入20年未満で共済金を受け取る場合に必ずしも元本割れするわけではないのです。
前述したとおり、小規模企業共済での共済金を受け取る方法は4パターンあり、それぞれについて元本割れする年数は異なるからです。
個人事業の廃業や会社の解散等なら元本割れしない
では元本割れしない場合はどういうときでしょうか?
それは、例えば、「任意解約」ではなく「廃業」が理由の、共済金Aのパターンで共済金を受け取るなら、掛金納付年数が5年であっても、掛金の総額に付加共済金が加算されて戻ってきます。
これは小規模企業共済の特徴でもある事業主の救済の観点から廃業が理由の時は元本割れしないようなしくみになっているからなんですね。
ただし、この廃業を理由として共済金を請求する時は、すべての事業を廃止し廃業を証明できるような書類の提出も求められます。これは元本割れしない共済金Aを不正請求させないためです 。
以上のことから、もし事業の廃業や会社の解散で共済金を請求する時は事前に必要書類を調べておかれたほうがいいでしょう。
おわりに
特に覚えておいて欲しいところは、
- 20年未満で任意解約だと元本割れする
- 20年未満でも廃業や会社の解散(共済金)なら元本割れしない
この2つが目印になるので覚えておいてください。
自分が元本割れするかしないかについては、中小機構のホームページに加入シミュレーションサービスがあるので、加入を迷っている方は一度シミュレーションしてみるのがおすすめです。
シミュレーションして冷静に活用すれば、節税効果もあり、むしろ増えて帰ってくるお得な制度なので是非ご活用を検討してみてください!
ついでに共済金の受け取りの際にも、受け取り方次第で、さらに節税する余地もあるので、コチラの記事も是非どうぞ。
それでは、また!
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