償却資産税申告の節税ポイント&余計な税金を払わないためのコツ解説

年末調整・法定調書

1月末日が期日の手続きは「給与支払報告書」、「法定調書合計表」、「償却資産税申告書」とあります。

いずれも「会計データを集計して書類を機械的に作るだけの作業」と思われがちですが、ただ集計していると余計な償却資産税を払うことになったり、節税の機会を失ったりします。

今回の記事では、余計な償却資産税を払うことを回避したり、節税するためのポイントについてお伝えします。

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第1のコツ:1月1日時点の資産内容を正確に把握する

償却資産税は「1月1日において事業の用に供することができる資産」が対象です。

裏返せば、「1月1日時点において所有していない資産」は申告する必要がありません。

具体的には「前年12月31日までに売却や廃棄した資産」や「1月2日以降に取得した資産」は申告する必要がないということです。

なので、年を跨ぐ前に次の作業を行い、本来は申告不要だった資産を申告してしまわないように対策するのがおススメです。

12月中に償却資産税申告書が届いた時点で行うこと

年内に売却した資産を明確にし、誤って集計しないようにしましょう。

また、廃棄する予定の資産を明確にし、廃棄予定のものは12月中に処理しましょう。

1月1日前後で行うこと

実際の資産内容を把握し、1月2日以降に購入したものが分かるようにしておきましょう。

誤って1月1日以前の資産にしてしまうと余計な償却資産税を払うことになります。

コツ②:会計帳簿に計上されていても「申告の対象外」となる資産があるかも

償却資産税の対象は「会計帳簿に計上されている固定資産」とおおよそ一致します。

ただし、一部例外があり償却資産税の申告の対象とならない資産がありますので注意が必要です。

具体的には下記の3つに気を付けましょう。

対象外:自動車税・軽自動車税が課税されているもの

普通自動車、軽自動車の他にも、排気量50cc以下のオートバイや小型フォークリフトなども償却資産税申告の対象外です。

対象外:無形固定資産

ソフトウェア、特許権、実用新案権など、法律上の権利や物理的実体のない資産は対象外です。

対象外:繰延資産

創立費、開業費の他にも、商店街のアーケード負担金など、税務上繰延資産として取り扱われるものは対象外です。

コツ③:家屋に含まれるために償却資産税の申告が不要な資産がある

償却資産税は固定資産税の1種です。

その固定資産税には2種類あるのをご存知でしょうか?

そもそも固定資産税には2種類ある

固定資産税は2種類あり、「償却資産税」と「土地家屋に対する固定資産税」があります。

「償却資産税」は、ご存じの通り申告が必要ですが、「土地家屋に対する固定資産税」は、市区町村の方で資産を把握するため申告不要です。

家屋に含まれる設備について理解する

「土地家屋に対する固定資産税」について申告不要といいましたが、一つ注意しなくてはならない点があります。

それはいわゆる「建物附属設備」です。

実は「建物附属設備」=家屋の設備については、申告が必要なものもあるんです。

償却資産税の対象として、申告が必要な設備

家屋の設備の中で申告が必要な設備については大きく2つあります。

  1. 家屋と設備の所有者が異なる場合(=賃貸物件に作った建物附属設備)
  2. 家屋と設備の所有者が同じ場合で、かつ、独立した機器としての性格が強い設備、特定の生産又は業務の用に供される設備

上記2つは償却資産として取り扱うため申告が必要です。

土地家屋に対する固定資産税の対象として、申告不要の設備

家屋と設備の所有者が同じ場合、家屋と一体となって家屋の効用を高める設備については家屋に含まれるため、償却資産税については「申告不要」です。

たとえば、火災報知設備、衛生設備(便器等)、エアコン以外の空調設備などは家屋に含まれるため申告が不要です。

この辺りについては、40以上の設備に分けて取扱いが定められています。

(引用元:那覇市HP『償却資産申告の手引き』p4© NAHA City

詳しくは各自治体から送付される「償却資産申告の手引き」やホームページでご確認ください。

コツ④:償却資産の時価の合計が150万円未満の場合、課税が免除される

前提として償却資産税の計算式をみていきましょう。

償却資産税の計算式

償却資産税は次の算式により計算されます。

償却資産税の計算式

税額 = 課税標準額 × 税率(1.4%)

課税標準額:賦課期日(1月1日)現在の全資産の評価額の合計が、課税標準額となります。各資産の評価額の計算方法については下記の表を参考にしてください。

(引用元:那覇市HP『償却資産申告の手引き』p9© NAHA City

免税点:課税標準額が150万円未満の場合は免税となります!

上記で算出された課税標準額が150万円未満の場合には償却資産税は課税されません。この課税が免除される金額を「免税点」といいます。

ちなみに、課税標準額の合計が150万円未満だからといって、償却資産税申告が不要とはならないので注意しましょう。あくまで、申告したうえで免除がなされます。

コツ⑤:一括償却を活用すれば償却資産税の節税に繋がります

少額の減価償却資産は会計上の処理により償却資産税の対象となるか、ならないかが変わります。詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。

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30万円未満でも、あえて一括償却を選択することで、償却資産税が節税できる

実務の現場では、法人税を節税する観点から30万円未満の資産を取得した場合には、中小企業特例(30万円未満を全額経費計上する方法)を適用し全額経費計上することが多いです。

しかし、10万円以上20万円未満の資産にはあえて中小企業特例を適用せず、一括償却(3年均等償却)を適用するという方法で節税をすることが可能です。

一括償却を活用した節税方法の解説

中小企業特例を適用し全額経費として計上した場合には、その資産は償却資産税の対象となり、課税標準に対して1.4%の税額が売却ないし廃棄するまでかかり続けます。

一方で、一括償却(3年均等償却)を選択した場合、10万円以上20万円未満の資産を償却資産税の申告の対象外にすることができます。

なお、この方法を採用するにあたっては、償却資産税は節税になりますが法人税にも影響が出るため、どちらがお得かをシミュレーションして検討を行うよう注意してください。(法人税は利益に対して課税されるので、赤字の場合は一括償却を選択した方が節税につながることが多いです)

おわりに

いかがだったでしょうか?

償却資産税は機械的な集計作業になりがちですが、余計な償却資産税を払わないよう事前の整理が大事になります。

また、個人事業主や中小企業においては10万円以上20万円未満の資産については一括償却をあえて選ぶことで、節税につながることもあります。

積み重なると大きな金額になることもありますので、是非一度検討してみてください。

この記事が皆さんの償却資産税申告の一助になれば嬉しいです。

それでは、また!

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