お酒好きなら一度は気になる「酒類販売業免許」。
取得するには費用は一体いくらかかるのでしょうか?
この記事では、酒類販売業免許の申請に必要な費用について詳しく解説します。
「酒類販売業免許申請」の申請費用は大きくわけると2つ
「酒類販売業免許」の申請費用は、大きく分けると2つあります。
- 公的書類の収集費用
- 登録免許税
①申請に際し、必要となる公的書類の収集費用が必要となり、②登録に際し、登録免許税が必要となるわけです。
それぞれみていきましょう。
「酒類販売業免許申請」で必要となる公的書類とその取得費用は?
「酒類販売業免許」の申請で必要となる公的書類(証明書)と取得費用は、以下の通りです。
書 類 | 費 用 | ||
➀ | 建物の全部事項証明書 (建物登記簿) |
600円 | |
➁ | 土地の全部事項証明書 (土地登記簿) |
600円から | 販売場の建物が、複数の土地にまたがっている場合には、すべての土地の登記簿が必要となります。 |
③ | 納税証明書 | 400円から 800円程度 |
都道府県税と、市区町村税について ・過去2年以内に対等処分を受けたことがない旨 ・現に未納の税がない旨 の証明が必要となります。 |
④ | 住民票 | 300円程度 | 個人申請の場合に必要となります。 |
⑤ | 履歴事項全部証明書 (法人登記簿) |
600円 | 法人申請の場合に必要となります。 ※法人申請の場合は住民票の提出は不要です。 |
(その他必要に応じて提出する書類) | |||
⑥ | 公図 | 450円 | |
⑦ | 各階平面図 | 450円 |
(参考:免許申請の手引(販売業免許関係)©国税庁)
だいたい合計すると2,000円~5,000円程度となります。
公的書類は郵送による取得もできますが、早くて2日、遅くて1週間程度の時間が掛かることもあるので、急いでいる場合は注意しましょう。
「酒類販売業免許申請」の登録免許税
「酒類販売業免許」を申請すると、登録免許税の納付が必要となります。
登録免許税は、「登録免許税法」に規定され、新規に酒類販売業免許を取得する際に課される税金です(登録免許税法 第2条、第65条、別表第1)。
登録免許税は、申請する免許の種類によって税額に違いがあり、販売場が複数ある場合には、販売場ごとの納付が必要となります。
(免許の類型) | (登録免許税) | ||
酒類小売業免許 | 一般酒類小売業免許 通信販売酒類小売業免許 特殊酒類小売業免許 |
免許1件につき 30,000円 (販売場ごと) |
|
酒類卸売業免許 酒類販売代理業免許 酒類販売媒介業免許 |
全酒卸売業免許 ビール卸売業免許 洋酒卸売業免許 輸出入酒類卸売業免許 店頭販売酒類卸売業免許 協同組合員間酒類卸売業免許 自己商標酒類卸売業免許 特殊酒類卸売業免許 |
免許1件につき 90,000円 (販売場ごと) |
|
酒類小売業免許から 酒類卸売業免許への条件緩和 または条件解除 |
販売場1カ所につき 60,000円 |
「酒類販売業免許」は、細かく11種類に分類されていますが、登録免許税については、「小売」、「卸売」と大きく2つに区別されています。
- 酒類小売業免許:30,000円
- 酒類卸売業免許:90,000円
事業内容により、小売業者であれば、30,000円、卸売業者であれば、90,000円の登録免許税が必要となります。
それでは、小売業免許と卸売業免許についてみてみましょう。
酒類小売業免許の申請には30,000円の登録免許税
酒類小売業免許を取得した場合、「免許1件(販売場ごと)につき」30,000円の登録免許税を納付しなければなりません。
酒類小売業免許は、次の3つに分かれています。
(免許の類型) | 区分 |
酒類小売業免許
(登録免許税30,000円) |
一般酒類小売業免許 通信販売酒類小売業免許 特殊酒類小売業免許 |
一般酒類小売業免許、通信販売酒類小売業免許、特殊酒類小売業免許は、いずれも「酒類小売業免許」に分類されます。どれか1つを取得しても、または、複数取得しても、登録免許税の納付は30,000円となります。
登録免許税は、一度、小売業者として30,000円を納付している場合は、同一販売場においては、新たに小売業免許を追加しても、改めて納付する必要はありません。
たとえば、「一般酒類小売業免許」を取得後、同一販売場において、事業拡大に伴い「通信販売酒類小売業免許」も必要となった場合です。
すでに「一般酒類小売業免許」を取得した際に登録免許税の30,000円を納付しているため、改めて登録免許税の納付をする必要はありません。
酒類卸売業免許の申請には90,000円の登録免許税
酒類卸売業免許を申請した場合は、販売場ごとに「免許1件(販売場ごと)につき」90,000円の登録免許税を納付しなければなりません。
酒類卸売業免許は、次の8つに分類されています。
(免許の類型) | |
酒類卸売業免許
(登録免許税90,000円) |
全酒卸売業免許 ビール卸売業免許 洋酒卸売業免許 輸出入酒類卸売業免許 店頭販売酒類卸売業免許 協同組合員間酒類卸売業免許 自己商標酒類卸売業免許 特殊酒類卸売業免許 |
8つに分類される卸売業免許のうち、どれか1つを取得しても、複数を取得しても、納付する登録免許税は酒類卸売業免許の90,000円となります。
新たに他の条件の卸売業免許を追加で取得する場合でも、すでに卸売業者として90,000円を納付している場合は、同一販売場においては、改めて登録免許税の納付は必要となりません。
たとえば、「輸入酒類卸売業免許」を取得後、「輸出酒類卸売業免許」も必要となった場合、すでに酒類卸売業者として90,000円を納付しているので、改めて登録免許税の納付をする必要ありません。
酒類販売業免許の登録免許税は90,000円まで
「酒類販売業免許」の取得に課される、登録免許税は90,000円が上限となります。
酒類卸売業免許と酒類小売業免許を同時に申請した場合でも、納付する登録免許税は、上限の90,000円となります。
酒類卸売業免許と酒類小売業免許の申請のため、90,000円と30,000円の合計120,000円となることはありません。
追加となる登録免許税
「酒類販売業免許」は、免許を取得後、「条件緩和申出」を行うことにより、取得している免許の条件を拡げることができます。
「条件緩和申出」の場合にも、登録免許税の納付が必要となる場合があります。
先に小売業免許を取得し、その後、「条件緩和申出」により卸売業免許を取得する場合には、納付する登録免許税は60,000円となります。
すでに、小売業免許を取得した際に30,000円の登録免許税を納付しているため、新たに卸売業免許を取得する際には、差額にあたる60,000円の納付で足ります。
先に卸売業免許を取得し、その後、「条件緩和申出」により小売業免許を取得する場合には、酒類卸売業免許を取得した際に、すでに上限の90,000円を納付しているので、新たな登録免許税は課されません。
酒類販売管理研修の受講料
「酒類販売業免許」は、販売場ごとに「酒類販売管理者」の選任が必要となります。
もし、酒類販売管理者の資格をおもちでなければ、研修の受講料が必要になります。
「酒類販売管理者」は、3年ごとに、研修実施団体が行う研修を受講しなければならず、1人あたり4,000円から5,000円程度の受講料が掛かります。
「酒類販売業免許」の更新はある?
「酒類販売業免許」には、取得後の更新はなく、更新手数料といったものもありません。
一度取得できると、酒税法に違反したなどの理由による免許の「取消し」や、申請による免許の「取消し」がない限り、「酒類販売業免許」は有効となります。
「酒類販売業免許」には更新がありませんが、販売場ごとに選任する「酒類販売管理者」は、3年ごとに「酒類販売管理研修」の受講が必要となります。
定期的な「酒類販売管理研修」の受講を怠った場合、勧告・命令を受けることがあり、命令に違反した場合は、50万円以下の罰金に処されることになりますので、注意しましょう。
専門の税理士・行政書士に依頼
「酒類販売業免許」の取得は、申請書の作成、公的書類の収集、審査中の税務署対応など、手間と時間がかかる申請です。
事業内容にあわせ取得できる免許の種類も多く、取得の要件も複雑です。
自分で「酒類販売業免許」を申請するには不安があるようでしたら、ぜひ、専門の税理士・行政書士に依頼することをおすすめします。
「酒類販売業免許」申請の代行手数料は、取得を希望する免許の種類や、事業計画によっても異なります。
なので、自身の事業の展望を明確にしたうえで、専門の税理士・行政書士に相談するようにしましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?
まとめると、
・「酒類販売業免許」の申請費用は、公的書類収集費+登録免許税
・「酒類販売業免許」申請に必要な公的書類収取費は概ね2,000円から5,000円
・登録免許税は
→酒類小売業免許:30,000円
→酒類卸売業免許:90,000円
・登録免許税は90,000円が上限
・「酒類販売業免許」には、更新がない
・「酒類販売管理者」は3年ごとに研修を受講 受講料は5,000円前後
となります。
この記事では、酒類販売免許の申請に必要な費用について詳しく解説しました。
意外と少額で済む印象を受けたのではないでしょうか?
酒類販売業免許の申請は、多くの手続きと多少の費用が伴いますが、適切な準備と理解があればスムーズに進めることができます。
これらの情報が、みなさんが免許取得するかしないかの参考になりましたら幸いです。
その他、酒類製造免許についても知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
それでは、また!
コメント