お酒で仕事をしようと考えると気になるのは「酒税」。
そして、
「酒税は誰が納めるものですか?」
という疑問が出てくると思います。
酒類が消費者に届くまでの流通経路には、製造業者、卸売業者、輸入業者及び小売業者といった様々な事業者が携わっているため、納税義務者が誰なのかについては気になるところだと思います。
今回は酒税の納税義務者について解説していきます。
酒税の納税義務者
この点について酒税法では、酒税の納税義務者を、①酒類の製造者及び②酒類を保税地域から引き取る者と規定しています。
①酒類の製造者とは国内でお酒を製造した人のこと。
②「酒類を保税地域から引き取る者」とは、「酒類を外国から輸入した者」のことを指します。
酒類の輸入業者が海外から輸入した時が納税義務の成立時期となるので、国内の業者から酒類を仕入れて販売している小売業者については、酒税を納める必要はありません。
酒税の納税義務の成立時期
また、それぞれの納税義務が成立する時期については、以下のように定められています。
納税義務者 | 成立時期 |
---|---|
①酒類の製造者 | 酒類の製造場からの移出の時 |
②酒類を保税地域から引き取る者 | 保税地域からの引取りの時 |
①酒類の製造者の納税義務の成立時期は酒類の製造場からの移出の時とあります。
この「移出の時」というのが、なかなか幅が広いので、詳しくみていきましょう。
①「酒類の製造場からの移出」の時とは?
酒類の製造場からの移出の時とは、文字通り製造場からお酒が移動したときです。
たとえば、製造場とタップルームが併設している場合に、同じ建物内でも製造場として税務署に申告した範囲を出たときには、移出したものとして課税されます。
そのほかにも酒税法では、以下のいずれかに該当した時に酒類の移出があったものとみなされ、酒類の製造者に対して酒税が課されます。
- 酒類等が酒類等の製造場において飲用されたとき
- 酒類の製造免許に付された期限が経過した場合又は酒類等の製造免許が取り消された若しくは消滅した場合に酒類等がその製造場に現存するとき
- 酒類等の製造免許を取り消された者が「必要な行為の継続等」の規定の適用を受けて酒類等を製成したとき
- 酒類等の製造場に現存する酒類等が滞納処分等により換価されたとき
とくに「1.酒類等が酒類等の製造場において飲用されたとき」には注意が必要です。
→たとえば、製造場の工場見学の際に、出来上がったお酒を見学者に試飲させたときにも課税されます。それを知らずに良かれと思って試飲をさせていることがあると思うので、そこのところをよく理解したうえで、試飲会は企画しましょう。
②「保税地域からの引取りの時」とは?
これについては、文字通り「保税地域から種類を引取ったタイミング」が主なのですが、①と同じように、以下のケースに該当した時は酒類の引取りがあったものとみなされます。
- 酒類等が保税地域において飲用されたとき
納税義務成立時期の例外(酒税が免除される場合)
基本的にはこれまで話したタイミングで納税義務が成立しますが、例外的に納税義務が免除される場合もありますので見ていきましょう。
製造場から移出され又は引き取られた酒類であっても、酒類製造者が他の酒類の原料として使用する場合や、酒類製造者が外国に輸出する目的で酒類を製造場から移出する場合等には、例外的に酒税は免除されます。
ただし、法定の期限までに、その酒類が移入先に移入されたこと若しくは外国に輸出されたことについての明細を記載した書類を提出すること等の一定の要件を満たさない場合には、その移出又は引取りのあった事実に基づいて、酒税の納税義務が成立することになります。
おわりに
いかがだったでしょうか?
大事なところをまとめると、
- 納税義務者は、国内でお酒を製造した者と、外国から酒類を輸入した者。
- 納税義務の成立時期は、製造者の場合は製造場からの移出時、輸入業者の場合は保税地域からの引取り時。
といったところです。
輸入をしない国何の酒類販売をする場合には、酒税の納税義務はないともいえます。
ただ、どのくらい仕入れて販売したかの記帳義務や申告義務は発生しますので、その点はお気を付けください。
この記事がお役に立てば幸いです。
それでは、また!
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