事業をしていれば従業員の退職はどうしても起こります。
では、従業員が退職した際の源泉徴収票はどのように対応すればよいでしょうか?
今回は従業員が退職した後に作成する源泉徴収票について、要点をまとめていきます。
給与所得の源泉徴収票の提出先と期限
給与所得の源泉徴収票は①従業員と②税務署と③市町村役場へ提出する必要があります。
退職した従業員へ
所得税法第226条第1項より、退職日から1ヶ月以内に退職者に渡す必要があります。
税務署へ
所得税法施行規則第93条第2項より、税務署に提出しなければならないのは、次の従業員の源泉徴収票だけです。
- 退職した年分の給与所得者の扶養控除等申告書を提出していた退職者(退職した会社で退職した年分の年末調整を行っていない)で、退職した年の年収が250万円を超える人
- 退職した年分の給与所得者の扶養控除等申告書を提出していた退職者(退職日が年末に近く、退職した会社で退職した年分の年末調整を行っていた)で、退職した年の年収が500万円を超える人
- 退職した年分の給与所得者の扶養控除等申告書を提出していなかった退職者で、退職した年の年収が50万円を超える人
提出する時期は、退職した年の翌年1月中です。
市町村役場へ
源泉徴収票と同じ記載内容である”給与支払報告書”を提出します。税務署と異なり、すべての退職者のそれを提出する必要があります。
提出する時期は、退職した年の翌年1月中です。
※退職者が退職後に引っ越しをしたときは、退職した年の翌年元日における住所の市町村役場に提出することになります。
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
退職金が出る場合は、退職所得の源泉徴収票を①従業員へ提出する必要があります。
ただし、退職するのが役員の場合は①役員と②税務署と③市町村役場へ提出する必要があります。
退職した従業員へ
所得税法第226条第2項より、退職日から1ヶ月以内に退職者に渡す必要があります。
税務署へ
所得税法施行規則第94条第2項より、税務署に提出しなければならないのは役員(相談役、顧問その他これらに類する者を含みます。)の源泉徴収票だけで、従業員のそれは不要です。
市町村役場へ
税務署と同様に、従業員の”退職所得の源泉徴収票・特別徴収票”の提出は不要です。
※退職金から天引きした市県民税があるときは、退職金を支給した月の翌月10日までに、市県民税を納付するとともに、”納入申告書”を市町村役場に提出しなければなりません。
※退職者が退職後に引っ越しをしたときは、給与所得の源泉徴収票と異なり、退職した年の元日における住所の市町村役場に対して、市県民税の納付と”納入申告書”の提出を行うことになります。
源泉徴収票の電子データの受け渡し
所得税法第226条第4項より、”給与所得の源泉徴収票”と”退職所得の源泉徴収票・特別徴収票”は、退職者から予め承諾を受ける(口頭ではなく、書面か電子データで承諾を受ける)ことを条件として、PDF等の電子データで退職者に送付することも認められています。
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